簡単に言えば、世田谷区が選定したNPOに補助金2千万円を出したものの、何の成果もなくNPOが破綻。補助金返せと言っても後の祭り。戻ってきたのはたったの16万円だけ。しかもNPOは解散手続き中。要するにとんでもないNPOに引っ掛かったということ。これが事件の流れである。
東京都が関係してくるのは、補助金の半分の1千万円が東京都から世田谷区を通じてNPOに出ていた補助金だったからである。
NPOを選定した世田谷区の責任だと東京都はカンカンなのである。
しかし、ここで問題となって来るのは東京都が世田谷区に出した補助金を返還させるには、世田谷区が「違法」なことをしていなければ、そもそも請求できない、という法的な縛りがあることである。
そこで東京都が持ちだしてきたのが「世田谷区は偽りその他の不正の手段で東京都から補助金を貰った」という「違法」を問題としたのである。
これは言い換えれば「当時の世田谷区長、副区長、担当部課長等が偽りその他の不正の手段で東京都から補助金を交付させた」ということである。そうであれば東京都に返すのは、「違反」をした人々であり、区民の税金をもって返すべきではない。
もちろん「偽り不正の手段」など断固していないのなら東京都に返す必要はないし、そんなことはしていない、「違法はない」と堂々と東京都と争うべきであろう。
今回の質疑で私達の会派が明らかにしたかったことは、違法(偽り不正の手段)が世田谷区にあったのか、という一点である。
もちろん率先して都の言い分を認めて返還しようとしているのだから、「違法」を認めているのである。でなければ返還できない。
しかしそれはあくまでも東京都にだけ認めていることで、区議会には認めない、という訳のわからない主張なのである。
東京都に対しては「違法」がありました、だから1千万円は返します。それに約11%という違約金の利息を付けて。(悪いことをしたのだから法定利息では済まされない、事実上の罰金のようなもの)
だったら公務員が「違法」なことをして発生した損害を区民の税金でまかなうのは、おかしな話である。
繰り返しになるが、東京都は、わかりやすく言えばこう言っているのである。「当時の区長以下が東京都をダマして補助金を持っていった」だから返せと。
区民の税金が使えるのは何においても区長以下公務員が法に従って適法に仕事をしていることについてのみである。(あたりまえ!)公務員が法に「違反」したことにまで、区民の税金が使われるなど、絶対にあり得ないことだし、あってはならない。
そこで区議会に対しては(都への態度とは百八十度異なる)「違法ではない」として区民の税金を使うことの正当性を主張しているのである。
もうここまで来ると怒りを通り越して冷笑である。二枚舌、ダブルスタンダードを質疑を通じて崩さないのである。「違法だから返すんだけどホントは違法じゃないんだよ」こういう答弁との闘いなのである。
どうしてこんなことが可決して(通って)しまうのだろうか?