2009/09/28

庁舎審議会の議事録を読む(4)

●第一回目の審議会で確認された主なことは以下のこと。
  • 審議の対象範囲は、本庁舎からやや柔軟に総合支所との関連も議論の内側に含めること。ただし総合支所の建物に関する議論はここではしない。

  • 本審議会は最終決定機関ではないという確認。
●後段の最終決定機関でないことは当然としても、前段については、区役所機能というサービスそのものを検討対象とすること意味している●言わば、建物(ハード)と行政サービスのあり方(ソフト)の両面から議論する必要があるということである●実は、当初事務局案としては、議事録でよむ限り、建物(ハード)だけを議論の対象にしようと考えていた(つまり本庁舎だけをどうするかという)●しかしそれでは、単に建物が古いか、古過ぎないかという議論に矮小化されてしまうし、結論は見えている。これではよく言われるように、結論ありきの審議、ともなりかねない●その意味では前段の確認は、重要なことである。

●左上は18日の都政新報が伝える豊島区の庁舎建設。豊島区は23区の中でも財政的には良くない方である。記事の見出しにもある通り資金調達すら問題である。大丈夫?なのだろうか。

2009/09/23

脱官僚の障壁


●「脱官僚」とは言うものの、言葉に実態を合わせるのは容易ではない●この記事も「だから言わんこっちゃない」ということかも知れないが、外務省役人の“手引き”があったのは明らかであろう。現にこうして記事となったのだから●今後、国会で野党自民党の追及が始まれば、事と次第によっては、こんな“苦笑い”の記事では済まなくなる●「政治主導」の最初の障壁は「こんなこと役人にやらせたほうが早いや」と諦めることである。もちろん全部を政治がやれるはずもないが、一皮むけば政治は何から何まで面倒なことだらけである●だから自民党は官僚依存を深めたのであろう。さらに官僚の言うとおりにしている方が、“もっと楽だ”と気づいたのである●民主党に楽ちんの“自由”を与えてはいけない。そんなことをしたら“自由”民主党に逆戻りである。

2009/09/21

首相になれぬ家系? 1/7


●民主党政権の華々しいニュースが相次ぐ中で、自民党の総裁選を見ていると、言っちゃ何だが、どこかの発展途上国の酋長選びのようだ。しかし新たな萌芽は こんな所から始まるのだろう●その中で、ひとり河野太郎氏だけが正しい状況認識を示している(その言動からすれば、いずれ飛び出す覚悟がうかがえるが、首相にならぬ家系であっても、その昔の新自由クラブの家系でもある)●現在の政治方向は小泉構造改革から始まったと言って良い。小泉首相以後、結局自民党 はその改革の意義を理解できなかったのに比べ、民主党がその改革の思想(と選挙手法を受け継いで)勝利した●小泉構造改革は簡単に言えば、田中角栄型の地 方開発型経済の転換である。

首相になれぬ家系? 2/7

●開発型経済とは結果から見れば、農地に一本道路を通すことで宅地化が進み地価が何倍にもなる、という魔法のような政策である●と同時に地方にあっては、 農業から土木事業者への職種転換の受け皿という目的でもあった●しかし可住面積に限りがあり、人口が増えない中で、道路を作って農地を住宅地に変えるとい うビジネスモデルは限界を迎え、何の投資効果も生まなくなった。

首相になれぬ家系? 3/7

●それどころか「目的」が明示されないまま「手段」だけが作られる官製ビジネスが道路からどんどん“応用”されていった。道路が作られ、新幹線が作られ、 飛行場までが作られる始末である●まさに“目的”が示されないまま“手段”の部分だけが増幅、暴走するのが官僚の思考である(たいていの場合、地域からの 要望ということが目的にすり替わるが)●「目的」を明示しないのは官僚や役所が責任を取らされるからである。もっと言えば本当の「目的」は、地方における 農業経済から土木経済への持続的転換でしかない、つまり地域雇用である●地域雇用が真の目的で道路が作られ、新幹線が作られ、飛行場が作られるのだから、 採算が合う訳がない。その責任まで官僚や役所はとりたくないのである。

首相になれぬ家系? 4/7

●日本では「目的」が明示されないまま「手段」だけに巨額の税金が投じられることを、「整備計画」と称する。役所用語で最多のキーワードは「整備計画」という名称だという説もあるくらい多い●「目的」と「手段」と「結果」を結びつけないのは政治の責任である。

首相になれぬ家系? 5/7

●そこで登場したのが小泉構造改革である。それは地方における農業従事者を土木業に転換したビジネスモデルに見切りをつける改革でもあった。或いは地域雇 用の為に暴走する公共工事に市場性を導入すると言ってもよい●いくら何でも道路があり、新幹線があり、その上飛行場まで作るという交通体系は過剰であろう ●だから小泉構造改革は、ここまでは正しかったと思う。しかし地方における新たなビジネスモデルを提示しないまま、小泉構造改革を進めたことは失敗だった●当然である。農業 が廃れ、土木事業へと職種転換することで生活してきた人々にとり、その土木事業が税金の無駄遣いと指弾され、バッサリ切り捨てられることは、そう簡単に納 得できるものではない。

首相になれぬ家系? 6/7

●さあ、ここからである。自民党は元に戻す方向(ターンバック)で支持をつなぎとめようとしたのに対し、民主党は何か新たな改革を期待させながら積極的な バラマキ(補てん)策を見せた●結果は知っての通りである。もはや元にもどることに、何ら希望がないことを国民は感じている●では、農業に替わる地方産業 としての公共土木事業に、さらに替わる新たな産業政策をどの政党が提示できるのか、そこが問われている。

首相になれぬ家系? 7/7

●小泉路線を継承し推し進めると河野太郎氏は言う。それは正しい。しかし、それはあくまでも都市部だけでの正しい認識に過ぎない●今後、地方をどうする か、国政の課題である●そして地方の議員はもはや「整備計画」などという目的と手段を取り違えているような“まやかしの税金投資”を吟味する必要がある● 必要なのは明確な「目的がある計画」である●今後の政治状況がどうなるか予断を許さない。ひょっとすると首相になれぬ家系どうし、渡辺喜美氏と河野太郎氏は連 携するかも知れない。

2009/09/19

能力主義と採決要員

●副大臣、政務官の人材争奪戦(政策通引っ張りだこ)の報道を見て、仕事をするならこうだよな、と思った人が多いのではないか●政治主導のもと新大臣が腕 を振るうなら、出来る政治家を集めるのは当然である。その様を見て“新鮮”と感じるのは、いかにそれまでの政権がひどかったか、である●副大臣にしろ政務 官にしろ各派閥からの“順送り人事”とかでチームワークも何も感じられるものではなかった●要するに新政権は能力主義である。方や旧政権は平等主義とでも 言うのだろうか、まともな答弁もできないのに当選回数だけで大臣になれたシステムであった●しかしよく考えてみると能力主義と平等主義の対立は常に、「能 力主義は格差を産む」というロジックで平等主義から攻撃を受ける●政治の場合、能力主義が横行すれば、必ずポストに就けない議員が出てくる。それらの不平 不満がともすれば“党内平和”を崩しかねない恐れがある。そこに介入してきたのが優秀な官僚たちであろう。能力不足を補って、どの大臣も能力のある大臣に 覚醒させてしまうのだから、素晴らしい“覚醒剤”である●しかしそれが結局、官僚の政治介入を許し、政党が国民そっちのけで“党内平和”に汲々としている 姿をさらし出し、果ては国民が呆れたということである●さすがに“漢字読めない政治家”までは官僚もお手上げだったのだろう●政治主導とは官僚という依存 性の高い“覚醒剤”を断つということである。つまり新政権では政治能力の足りない議員は極端に言えば(官僚という“覚醒剤”を使えないので)永遠に採決要 員ということになる。そこで持ち上がるのは“党内平和”がぐらつくことであろう●能力主義と“党内平和”は常に対立関係にある。大所帯になれば尚のことで ある。新政権がこの、内なる課題をどう克服するのか。区議会においても同様であろう。

2009/09/17

過去の復讐

●畦畔(ケイハン)要するに“田んぼのあぜ道”の問題で世田谷区議会は論争になっている●実は世田谷区の下にはもう一つの地図が眠っている●昔の“田んぼ”や“畑”や“あぜ道”の“古い地図”である●その“古い地図”が現在の世田谷区民を悩ましている●“田んぼ”や“畑”はちゃんと測量しながら宅地や公道に歴史的に変化していったが、なぜか“あぜ道”だけは曖昧なまま「国有地」として公図上に存在し続けた。平成16年まで●それがそれ以後、国から譲与という形で住民の知らない間に「世田谷区の土地」に変更されていたのである●これが単なる国から地方への変更なら問題はなかったのであろうが、そうではなかった。実は「国有地」なら申請すればタダで貰えるチャンスがあったのが、「世田谷区の土地」に変わったとたん、買い取って貰うしかないということになったのである●これは住民からすれば、天と地ほどの差である●こういうことから最近になって土地紛争の裁判が増えているのである。住民と世田谷区が昔の“あぜ道”を巡って争うことについて議会の判断を求められている●問題の“あぜ道”が自宅の敷地の下に眠っている戸数はひょっとすると区内で何千件にもなるかも知れないと言われている。決して小さい問題ではない。根本的に解決する方策を区独自で考えなければならないし、個別的に司法の判断に頼っていては解決しえない問題なのである。

2009/09/15

江東区の事件は世田谷区ではありえない

●先日の江東区の契約外支出に関して世田谷区の関係者に聞いたところによると世田谷区と当該社会福祉法人との契約においては一 切問題はないとのこと●少なくとも江東区の契約方法はやはり報道された様にかなり異質な契約形態を放置していたらしく、誰が考えても問題となる方法だった らしい●むしろ江東区の契約方法に従わされた社会福祉法人の方が気の毒ということらしい●もちろん以上は世田谷区側の関係者の話で私がすべて契約書を チェックした訳ではない。だからとりあえずの報告ということである●もし情報があれば私宛にメール下さい。

初日代表質問

●代表質問初日。トップは民主だった。意外とソフトな感じだった。むしろ余裕綽々ということなのだろうか。それに比べて自 民は哀愁漂う感じ、かな●役所の答弁も何となく違うように聞こえたのは錯覚か●とは言え、私たちの“ドル箱スター”小泉議員の代表質問はまたもや傍聴席を 埋め尽くし、溢れんばかりの熱気に包まれて大盛況の中、ある種の感動を伴って終了した●他会派の代表質問者には申し訳ないくらいだ。もちろん内容も言うべきことはちゃんと 言う会派の方針のもとガンガン言ってる●ハッキリ言って壇上では最小(交渉)会派という自覚が私たち3人には微塵もない。代表質問は84万区民を代表する気概 でいつも臨んでいる。3人とも政党には属していないが、常に“区民党”という意識で区役所と対峙している●以上、今日の概況。

2009/09/14

議会内一人相撲家

●議会で一日中話している。今日は3つの会議体でそれぞれ違うテーマについて主張を続けた●その中の一つ。 議会では議会改革の議論を始めようとしているが、その議論の土俵を巡って全会派参加か全議員参加かで別れている●これだけでは何が争点なのかわかりづらい が、たとえば町会運営にあったって一軒一軒誰かが出て話し合うべきか、それとも一軒一軒、家族全員が出席して話し合わなければならないか、というようなも ので、まさに現実性を超えた議論で、それに対して適宜反駁しているわけである●ところが私と同じような考えの議員はどうも議論に乗ってこない●結局、お一人様相撲で ある。最近つくづく感じるのだが、議論に参加しているようで、実際は自分たちの結論だけを主張してオシマイ、というタイプが意外に多いということ●議論とは結 論に至るプロセスを検証しあうことである。結論だけを主張してオシマイでは、それでは議論にはならない●まあいろいろと考察してみると議論以前に会派のメン ツとか既得権のようなもののほうが、純粋な議論より大切という価値観もあるようで、区民から見れば議員なのに議論もできないの?と言いたくなるかもしれな いが、逆に言えば議論できる議員を選びましたか?と問い返したいくらいで、これも立派な民意の結果と承知しつつ議論を吹っかけている●時折、事務方を見て迷惑そうなのかなぁと確かめるが、案外ニコニコしている。しかしニコニコしている時ほど事務方の内心は複雑であることも知っている。

医療限界

●NHKスペシャル「未知の脅威新型ウィルス 日本は耐えられるか」を見た。50分の番組で結局言いたかったのは、感染拡大のスピードを遅らせろ!の一言に尽きる●その具体例として、患者が感染を広げる人数を2%減らせれば、流行のピークである一日76万人の発病を半分の37万人に減らせるという●要するに、外出や他人との接触を控え、マスク、うがい、手洗いのレベルをあげるということ(すでのワクチンは最初の流行10月に間に合わない)●そのことで医療機関の負担を減らすことができ、混乱を防ぐことができる、ということである。
●実は、同じことを8月26日のクローズアップ現代「新型インフルエンザ感染拡大との闘い」では“医療限界"という言葉を使用していた。今回は配慮があってかその言葉は出てこなかった●さらにNHKスペシャルでは「混乱」について明確には述べなかったようだが(映像で見せていた)クローズアップ現代では、「混乱」という言葉について、はっきりと、心臓病等の基礎疾患のある人、妊娠中の人等の重症化の危険性があって早急に治療を受けなければならない人たちが十分な医療を受けられないまま命の危険にさらされる事態にもなりかねない、ということと述べている(両番組とも同じ記者が解説役)●とにかく10月大流行想定に対し、個人レベルで感染を防ぐ、感染を広げないように心掛けるしかない。

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医療限界2

●日本の医療について少しググってみたらOECDの2007年のヘルスデータが出てきた●それによると日本の医師数はOECDの中で少ない。平均以下である。それに対して急性期病床数はトップでダントツである●さらに驚くのは高度・高額医療器機(CTやMRI)の設置数が飛躍的に多いことである(このことを指して日本の医師は患者よりも器機ばかり見ている、という外国の皮肉を聞いたことがある)●医療は医師数だけではなく医療スタッフそして医療器機との総合力であろう。そういうことも含めると「医療限界」というのをどうとらえて良いのか、考えさせられる。

2009/09/13

世田谷区本庁舎等整備審議会の議事録を読む(3)

●事務局が持ち出したのは、「庁舎問題についての区議会の動向」というA4の6ページの資料●会派名と賛成と反対が目立つように書かれて、その横に会派質問の要旨が載っている●反対と記載されているのは、共産党と無党派市民だけであり、他は全部賛成と書かれている(そのように口頭でも説明している)まるで庁舎改築に賛成か反対かに見えるが、実はこの審議会の設置条例に賛成か反対ということであり、改築とは直接関係がない●さらに質問の要旨を見ても、各会派の改築に対しての考え方はわからない。(理屈で言えば区長の諮問が改築ということの是非を審議してほしいという審議会なのだから、その審議会設置条例に賛成するということは改築賛成ということだろう、ということになるが、それも当たらない、なぜなら何をもって改築とするか余りにも漠然としているからである)●審議委員としては、当然、財政的な決定機関である議会の動向は気になるところで、そのあたりを察して、このような資料を作成したのであろう●しかし議会に身を置く者としては、やはり見当違いと言わざるを得ない●資料は議会での本会議での代表質問等を拾い上げているが、この庁舎問題を専門に扱う特別委員会があるのである。そのことについてはまだ触れていない。

2009/09/12

江東区だけの事件か

●昨日の夕方のNHKニュースで世田谷区の社会福祉法人とだけ伝えていて心配していた●実はこの法人、世田谷区とも関連がある。それも現在定員が足りないと云われている保育園事業であり、またその「分園」を展開中である●NHKニュースでは「公金のずさんな管理」としていたが、この記事にあるように「区に返還すべき委託料計約4500万円を誤って契約外である・・・人件費などに充てていた」というが、“誤って"そんなことがあるだろうか●記事全体のトーンからすれば江東区側に過失が大きいようにも受け取れる。とは言え、全額返還したのだからやはり不当な行為であったということである。対岸の火事というわけではないのかも知れない。
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2009/09/11

新型インフルの“常識"も急変か

●午前中、新型インフルエンザの状況についてまとめたと思っていたら(下のブログ記事)、夕刊には今度はタミフルが効かないインフルエンザの、人から人への感染が認められたという●そのコメントにずーっと引用させてもらっている菅谷憲夫医師(けいゆう病院小児科部長)が登場しているが、耐性ウィルスが出てくると、お手上げである●新型インフルエンザ対策が、予防から治療重視に移り、治療段階での早いタミフルの投与で重症化を防ぐというのがWHOの戦略である●言ってみれば、野球で「三球三振で打たせない」作戦から「打たせて取る」という作戦変更である。それには「堅い守り」があればこそ安心ということである●しかしここにきて「堅い守り」があやしい、というのである●ウィルスの変異は人類の想定範囲を超えている。凡人にはただただ耐性ウィルスが蔓延しないことを祈るばかりだ。

新型インフルの“常識”1/9

●9月8日放送のNHK『視点・論点』でのWHO委員でもある菅谷憲夫氏の話は重要だ●結論から言えばタミフル、リレンザ(ノイラミニダーゼ阻害薬というらしい)で早期治療すべし、ということ。
●以下はその内容。


数年で全国民が罹患・発病するのが新型インフルエンザの本質である。
●話によれば、この10月には始まる第一波では国民の20%が発病するといわれている。そして上記のように2〜3年で全国民がかかるという。これには、そう言われてしまえば、わかることかも知れないが、ちょっと驚いた。(みんなかかっちゃうのか、という)

10月に始まるとされている新型インフルエンザの本格的な流行、第一波は6週間から8週間で終息に向かう。11月末で終了する。
●なるほど、いつまでも感染拡大ということではないということ。これも当たり前だが凡人の頭には終息するというイメージがなかなか、なかったからこれも意外。

新型インフルの“常識”2/9

10月には始まるとされている第一波。具体的には38万人もの入院体制はできるのか。数万人の重症者への人工呼吸器(での治療体制)は間に合うのか。現実は非常に厳しい。

そこで菅谷医師はニューヨーク市での例を紹介。ニューヨーク市での本格的流行は今年の5月中旬から6月末までの約6週間だった●909人もの入院があり、そのうち225人(25%)が集中治療室での治療、さらにそのうち124人(14%)が人工呼吸器を装着し、47名(5%)が死亡●えーそんなことあったっけ、という凡人の記憶力が情けないが、当時は日本での大騒ぎに気をとられて外国の状況は全く不正確だった。こうして見ると、ニューヨーク市の状況はかなり戦慄的だ。

●さらに菅谷医師は言う。ニューヨーク市では重症患者は公立病院に入院していることから、また死者の数から到底、弱毒株(インフルエンザウィルス)とは言えない、と。このことはかなりショックだ。すでに弱毒性ではないということだ●日本では弱毒性だから、まだ大丈夫みたいな雰囲気があるが、ちょっと待てよ、という心境である●しかもニューヨーク市で蔓延したウィルスと東京で発症しているウィルスは全く同じものであるという●では、なぜ東京ではニューヨーク市のような惨事になっていないのか、ここが最大のポイントである。

新型インフルの“常識”3/9

●日本(東京)ではなぜ、ニューヨークのようにならなかったか。ならないでいるのか。それは菅谷医師によれば、日本ではノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル、リレンザ)の治療を受けていたからで、ニューヨークでは、その治療を受けていなかったからという●やはり米国の医療は問題があるのかも知れない●要するに、日本ではタミフル、リレンザを十分に投与しており、それが効果的に重症化を抑えているということらしい●そのことが、本当は強毒性かもしれない新型インフルエンザの発症をあたかも弱毒性のように見せているのかも知れない●8月に発表されたWHOのインフルエンザ治療ガイドラインではタミフル、リレンザの早期投与により、重症化を防ぎ、さらに入院者を減らす、ことが最大の眼目となっている●菅谷医師は言う、新型インフルエンザは家で寝て安静にしていれば治る病気ではない。(タミフル、リレンザが必要)●世界的にはタミフル、リレンザの備蓄は足りていない。タイでは国民の1%分しか備蓄がない。しかし日本では全国民の50%分の備蓄があり、発症患者への投与は間に合う(逆に言えばほとんどの国では足りないのでWHOでは軽症者には投与するなということを言っている)●加えてワクチンは第一波の流行には間に合わないので、やはりタミフル、リレンザでの治療が重要とのこと。

●そして最後に、日本での最大の問題は入院体制の遅れ。10月になれば全国で最低でも20万人は必要になる。果たして入院できるかどうか、そのためにもタミフル、リレンザで抑えてほしいということであった。

新型インフルの“常識"4/9

●今朝、NHKの『生活ほっと』で子どもが新型インフルエンザにかかった、或る家族の事例とその対処を紹介していた。

●そこに専門家として菅谷医師が登場していた。『視点・論点』と同様の考え方を現実的に語っていた。

●紹介された家族では、新型インフルエンザにかかったのは中学一年生の次女。
●8月7日、次女は朝起きると体の不調を感じた。風邪かな、と思い最初に体温を計ると37度くらいあった●しばらくすると38度くらいの発熱になっていた●症状は全身が痛く、特に腰とか背中に打ち身のようなズキズキする痛みがあった●新型インフルエンザを疑った母親はすぐにかかりつけの病院へ次女を連れて行った●検査キットで調べた結果、医師から新型インフルエンザと告げられた。

新型インフルの“常識”5/9

●病院では、次女には喘息の持病があるため、リレンザではなくタミフル5日分が処方された●母親が恐れたのは家族への感染。その家庭は家族8人で住んでいた。まず次女を子ども部屋から移した。
●親の目の届く場所に寝かした。(タミフルによると言われている異常行動を心配して)

新型インフルの“常識"6/9

●枕元には水、ティッシュ、マスクを用意。なるべく次女が動かなくて良いように配慮。
●寝ている時もマスクを次女にはつけさせた。
●接触を最小限にするため次女からの合図は床を叩くことにして母親以外は会わないこととした。

新型インフルの“常識"7/9

●次女の食器はすぐ洗った。(ただし菅谷医師はそこまで神経質になることもないと指摘はしていたが)
●次女と接触する母親は手洗いを入念に行った。また家族にも手洗いは励行。
●経過として次女の熱は3日で下がり、家族への感染もなかった。
●母親はこれまでの風邪のように対応した感じだった。重症化しなくて一安心。

新型インフルの“常識"8/9

●新型インフルエンザの専門家の菅谷憲夫医師は、とにかく早く病院に行って診療を受けて、タミフルを服用したことが良かった。今回の新型インフルエンザは肺炎になりやすいことを注意しなければならない。家で安静では手遅れになるので、早く病院に行ってタミフルを服用して抑えなければならない。と述べた。
●手洗いは、流水で流すことの回数を増やした方が効果的、つまりゴシゴシというのは、それでウィルスが“取れる”というものではなく、流水で流すことでウィルスが薄まり、薄まると感染力が弱まるということらしい。

新型インフルの“常識"9/9

●さらにタミフルは服用後48時間は異常行動の報告もあり、窓側やベランダ側の窓近くには衣装ケースとかの障害物を置いておくことも必要。とも指摘。
●菅谷医師によればこれから、10月、11月で国民の4人に1人くらいは新型インフルエンザにかかるだろう。特に子どもはかかりやすく、半分くらいの子どもはかかるかもしれない。2,3年で全国民がかかってしまうだろうという病気だという認識をもつべき。
●だから予防ということではなく、治療に重点を置くべきだ。そのためにはタミフル、リレンザでの治療が重要である。

●以上、専門家の考えとしては、今回の第一波の大流行は、タミフルの処方により在宅で治してもらおう、ということである。病院は大流行の時は患者数の殺到によりとても施設数が足りないからである。人口呼吸器が足りないというのは単に器機だけの問題ではなく、人口呼吸器のスタッフも足りないということで、突き詰めれば医療スタッフの不足にたどりつく●とにかく、一度にドッと発症したら、残念ながら厳しいのが現状ということである。一度にドッをなるべく緩やかにするために、感染の広がりを防いでいるのであって、感染したらアウトということではない。菅谷医師も再三繰り返しているように2、3年で全国民が罹患する病気なのだから。このあたりの理解がちょっとややこしい。

2009/09/10

支持率急落

●米国大統領の支持率が68%から57%に落ち込み、就任7ヵ月の大統領としては 異例の急落とNHKが報じていた●原因は医療保険制度改革。昔こころみて失敗した改革である。映画「シッコ」でもその問題点は明らかになっている●とは言 え、米国人は税金にシビアだ。それに伴う権利義務も明確で、曖昧な負担は断固許さない、という国民性はたいしたものだ●選挙の時、人気が最高潮で、就任 後、公約に基づいて仕事を始めるとうまくいかない、というのはどういうことか●どこかに民意とのズレが生じているのだろう。或いは国民の苛立ちがどこかに 溜まっているのだろう●NHKも何かの暗示のように、この時期、報じているのかもしれない。

2009/09/09

49年前の本庁舎と今

●写真は、1960年建設直後の本庁舎の写真。そしてカラーが今日の本庁舎●実は昨年、会派として前川建築設計事務所を訪れ多くの取材をさせて頂いた。あわせて貴重な資料も●その中の一枚が左の写真(コピー)●建物自体はそのまんまだが、周辺の状況は変わっている。特に手前の中庭のありようはかなり変わっている。前川建築の真骨頂は実はこの中庭にコンセプトにあるのだが・・・●また白黒写真では中央に見える外階段が特徴的なのだが、現在ではかなり劣化して利用はできないようになっている●建築家は建築に対して利用哲学を持っているが、その思想性は竣工式のエピソード程度にしか扱われないのかも知れない。少なくとも区役所にはこの手の写真は残っていない。

2009/09/08

質問の根っこ

●議員の質問とは、どこかで“社会への疑問”や“現状への怒り”というものにつながっていなければ、いけないと考えている●逆に言えば“社会への疑問”や“現状への怒り”がない人が議員であってはならないとさえ考えている●もちろん偏見である。しかし、政治の状況をつぶさに見れば今回の民主党の小沢氏の行動力は、深い“社会への疑問”や“現状への怒り”が彼の中になければ、到底できなかったのではないかと思えるからである●或いは小泉前首相の政治行動は誰が見ても自民党の中での旧田中支配、経世会支配への疑問や怒りから発していたものである。いずれも破壊力が実現した●それに比べて、安倍、福田、麻生の各氏は、何ら“社会への疑問”や“現状への怒り”が感じられなかったし、たぶん希薄だったのだろう。石にしがみついてもという迫力はなかった。結果何もなし得なかった●つまり、政治主導とは、その政治家にどれほどの“社会への疑問”や“現状への怒り”が蓄えられているか、ということに比例するということである●小沢、小泉氏に及ぶべくもないが、地方議会においても同様である。“社会への疑問”や“現状への怒り”のない議員は、議会においても何を質問して良いのか常に方向性が定まらない●適当に話題性のある、かつ誰でもできそうな質問を繰り返しては体よく役人にあしらわれていることも少なくない(役人に先生、先生と奉られている、いわゆる森昌子症候群のことだが)●国政と地方政治は制度が異なるので、地方議員は質問抜きでの政治力というのはあり得ない。地方議員は質問がすべてなのである。

質問より仲良く

●しばし区議会の中にも、そんなことは電話で課長に聞けばすぐ答えてくれるだろうに、というような質問を本会議や予算・決算特別委員会で延々とする議員がいる●特に、まだ新人の頃に、ベテランと呼ばれるような議員が、まるで役所の部長とか課長とかと“朗読劇”でもやっているのかという感じで、しかも質問が繋がっていないので、聞いている方は、常に置いてきぼりを食らう状態だった●肝心な所に来て、別の質問に移ってしまうという、まさに離れ業である●簡単に言えば、質問時間が手持ちぶさたというような感じであり、言いたいことがあれば直接言えばいいし、まさかみんなのいる前で言うこともないだろう。こんなカルチャーを堂々と議会制度に持ち込んでいるといった感じである●民主主義とか議会制度という下では、社会常識とは異なる文化で成り立っている。とはいえ議会も一つの社会であるという主張がある。そこに大きな誤解が生じる素地がある●職場だろうが、地域コミュニティーだろうが、ハッキリものごとを言うことは好まれない。婉曲にまず表現することがマナーであり、人前で恥をかかすようなことはケンカを売るようなものである。そして社会の中でうまくやっていくには何よりも回りと仲良くである●しかし、そんな意識で議会をやられたら、議会が活性化するだろうか。行政とも仲良く、失敗はかばい合い、大事なことは目立たず決める、突出することはやらない、やらせない、とにかくみんな一緒で文句の言いっこなし・・・実はそういう体質が今回の総選挙で否定されたように思える●有権者が求めたのは政治カルチャーの否定ではなかったのか。

インフル情報

●区議の所には新型インフルエンザの情報が、たとえば学級閉鎖があった時など、FAXが届く。昨日も書いた通り、8月はさほどではなかったが9月に入って毎日のようになっている(ちょっと前代未聞)●それだけ感染が広がっているということである。あくまでも弱毒性ということで学級閉鎖の増加が重症化の連鎖にはつながっていないことは、わずかながら救いである●しかし区議だけがそんなことを知っていたも仕方がないので、こうして書いている●区の方でも明日から、情報を少しオープンにするらしく、区のホームページの記載方法が変更される●うがい手洗いは、帰宅してからではダメらしい。随時、適宜、ゴホンと聞けばうがい手洗いが医学的な適切な方法らしい。常時、うがい手洗いが可能な生活の工夫を!

世田谷区本庁舎等整備審議会の議事録を読む(2)

●事務局が審議委員20名に説明したこととは「今まで区民の方からも、庁舎問題よりも学校の耐震化等のほうが先ではないかというご意見を多数いただいております」ということから始まる●もっともな意見である。でそこから事務局の説明は一転、自己弁護調を帯びる。「平成21年度末までに全校の耐震化の達成に向けて進めています」と●つまり本庁舎以外については、特に区民や子どもたちが使う施設は耐震化の手は打ってありますよ、と言いたいのだろう。確かに学校は広報紙で特集まで組んで21年度末(来年3月)までに完了すると宣言しているが、手つかずの区民利用施設はまだあるはず。ただし審議会のテーマは本庁舎をどうするかである。テーマから逸れたら議論は集約できないと懸念して、わざわざ他は大丈夫みたいな“布石”を事務局は打ったのであろうか●しかし、こののちの議論では、やはり本庁舎だけでは議論できないという考え方が浮上してくる●さて説明は本庁舎の物理的な面に及ぶ。第一庁舎はもはや北区と並んで23区中最古ということ。阪神・淡路大震災規模の地震が発生しても、ただちに倒壊、崩壊する危険性は少ない(ただし機能面はほとんど絶望的なことは私たちの会派で証明済Q.E.D.)●IS値は0.6は確保しているものの、災害応急対策活動に必要な施設としてのIS値0.9は確保できていない。従って庁舎は残っても災害対策本部としては使用できないことが予想される●ここでのポイントは建物は残っても災害応急対策活動はできないであろう、ということである。このことをどう見るか、見方によって様々な結論に結びつけられるのであるが●細かいデータの紹介はあっても、大方の説明が終わるのかなと思ったら、最後の最後で全く意外な資料を事務局は出してきた。それは私たちにとって意表を突く資料だった。【つづく】

2009/09/07

インフルエンザが流行っている

●先週に比べて今週から学級閉鎖の数が倍々で増えている。もう新型という名称をつけるほどでもないほどフツーの流行期のようだ●ただしまだ9月。にもかかわらず、それほど街中でマスク姿も多くはない●目の前の高校でも学級閉鎖。といってもそれこそ普段と何も変わらない。若い声が、活発なクラブ活動の校庭にこだましている。下校の生徒が特にマスクが多いということでもないようだ(全員を見たわけではないが)●しかしまだ9月である。ヘンである。大まかに言えば今年の春以降、大騒ぎをしたり収束したりしながら、確実に感染レベルは上がっている●とにかく、うがい手洗いマスク、と体力をつける、しかない。

議会改革の議論

●議会改革はどこで議論するのか。通常、議運(議会運営委員会)のように思えるが過去の例からすれば、研究会とか検討会という別組織で行なっている(この方がメンバーが議会人事と関係なく固定して議論がしやすいという利点もある)●形態はどうであれ、問題はいつ“議論に入るか”である。区議会議員の任期も残すところ約1年半である●実は各会派から出されている改革のテーマは結構ある。議会制度に関する検討項目一覧によれば
  • 姉妹都市交流も含めた海外視察(今年度は一応中止・自粛?)
  • 陳情の取り扱い(議論はしたものの関連陳情が出され、途中)
  • 会派構成から見た発言時間の見直し(議論に入っていない)
  • 費用弁償(議論に入っていない)
  • 議員定数(議論に入っていない)
  • 議員の経歴詐称防止のルール化(議論に入っていない)
  • 本会議での議案に対する質疑(議論に入っていない)
  • インターネット領収書公開の変更(議論に入っていない)

●実際、今期になって実現した改革は「せたがや政策会議」が提案した、本会議での質問項目をホームページに掲載する、のひとつだけである●もちろん議論しただけで何か結論が出て、制度が変わるとは限らない。そこには各会派の主張とともに合意作りも必要である●しかし、これらの課題について(課題は今後増える可能性もある)各会派の考え方が示される、というのは開かれた議会としてよいことである。それにしても早く議論に入ろう!

2009/09/06

世田谷区本庁舎等整備審議会の議事録を読む(1)

●20人の審議委員は何を議論したのか?●昨秋より10回に渡り開催された「世田谷区本庁舎等整備審議会」●8月13日にその答申が出された●しかし直後の新聞記事が伝えた内容は余りにも素っ気ない●そこで改めて議事録を読み直し、答申では伝わらなかった部分を拾いだしてみたい●まず、第一回目は昨年11月13日に開催された●最初ということもあって委員長の選任などがあって、事務局(区役所側)から世田谷区の状況説明があった●世田谷区は全国1782自治体のうち人口では14番目であり、政令指定都市である堺市、浜松市、新潟市、静岡市より多いということ。もちろん東京一でもある●第一庁舎が作られたのは昭和35年(1960年)で当時の人口より20万人増加している。現在は83万人(住民基本台帳)●第一庁舎が建設された当時は1階と2階だけで窓口業務は十分足りているはずだったが、その後様々な権限が区に降りてきた●保育、福祉、建築、清掃等々。単純に事務量が増えた●今から50年前の区役所と現在の区役所では、住民の意識も含めて仕事量は異なるだろう、確かに●このあとに事務局が機先を制したように、或ることを説明し始めたのである。【つづく】

2009/09/05

恒例の粕谷3丁目クランク街道BBQ

●通称クランク街道の周辺住民で夏の(秋だけど)催しが。冬は芋煮、夏はバーベキュー●地元のコミュニケーションの場で、もう何年も続いている。入れ替わり立ち替わり、飲んだり食べたり、焼いたり、しゃべったりといつものように●大人の時間はここでは遅く、子どもたち世代は小学生が中学生に、大学生に、家を出たとか話題の時間が速い●

多数決の限界と実際やれること

●政治主導とか脱官僚とか脱官僚依存という方向性は正しい。しかし地方自治体の役人と接していてつくづく感じることは、彼らは議員の言うことなど決してきかない、ということである●もちろん議員の言うこととは官僚発想とは異なる新たなプランのことである。役人に言わせれば単にレベルが低すぎるということなのかも知れないが、仮にそうでなくても同じである●要するに何を言っても役人というのは「出来ません」の一言から始まり、「出来ない」理由を次から次へと出してくるのである●政治は選挙から始まり、多数決で決まる世界であるが、多数を占めたところで、そこから先は役人の「出来ない」コールとの戦いである●こういうことは政治の現場で肌で感じるものである。さらに「できない理由」というのはやはり頭の良い役人が作るだけあって一理も二理もある。その一理も二理も、を超えなくては新しいことはできない●多数決は政党相手の“武器”であって官僚相手には必ずしも“武器”とはならないことに早く気づくべきである●実際地方自治の現場でも同じである●さて、左上の新聞記事は、やはり地方の反発必至とのこと。これも官僚の一度国会を通った国の補正予算の組み替えや執行停止などできませんよ、ということである●要するに上述したように一理も二理もあるということである●私自身も役人に“洗脳”されるまでもなくこれは困難なことだと考える。少なくとも国は地方の協力なしでは国政を動かせない、言うまでもないことである。政治主導を進めるには、それが官僚頼みより良いことが前提である。

2009/09/04

その後の報告

●中学校のホームページについて、昨日の「世田谷区のインフル対策 情報体制だいじょうぶ?」で述べたこと、について教育委員会に尋ねてみた●そういえば今日もまた1校区立中学校で学級閉鎖●夏休みが終わって感染の速度は加速している。とはいえ妙な言い方だが普通に拡大しているようで、風評被害に類するほど特殊な感染ではないようだが●実際には、感染した人は相当気を使うようで、回りのちょっとした対応にも、“排除感”のようなものとして受け取るようだ●と、いうことで教育委員会としては必要以上の公表はしないということで見解は示しているということらしい●ただし学校のホームページで情報を告知することは必要ということで、やっている学校とやっていない学校については、積極的活用の立場であるらしい●しかし実際やるとなると、なかなかで、例えば地域運営学校となっているところでは活発ということらしい。一応、最低レベルでの活用基準は教育委員会でしっかりやってもらいたい旨伝えておいた。

答え無き委員会

●今日の「地方分権・庁舎問題等対策特別委員会」は真摯かつ淡々と進行して終了●内容は報告事項の聴取ということで3項目。都立梅丘病院跡地利用関連、本年度都区財調関連、世田谷区本庁舎等整備審議会答申関連●委員会終了後、委員長と、しばし“反省会”(雑談)●当特別委員会のポテンシャルについてどう理解を深めれば良いのか。様々なバリエーションをどう用意する必要があるのか●まだまだ先が見えない副である。

精査したらわかる、何も変えられないこと


●早い話、あの定額給付金、民主党は反対したんだから政権交代した以上、返してもらう、なんて主張したら国民が怒るのと一緒で、一度国会を通った補正予算を今さらなかったことにして、という話は通らない●特に5月末の補正予算は国の地方に対する定額給付金のようなもので景気対策を中心として至れり尽くせりの内容(だから選挙前のバラマキとか言われた)●すでに使ってしまった自治体もあれば10月からという自治体もある。使っていないなら返せというのは無理●たとえ民主党の新しい政策であっても当然、地方自治体の協力を求めた上で十分な準備をするのが国あり方である●地方自治体の協力も考慮せず、国の方から一方的にということであれば、それこそ地方分権に反する。まるで中央集権体質ということになる●左は昨日の読売夕刊一紙に載った記事であるが、たぶんに観測気球の域を脱していない。もし“マジ”なら、全国の自治体は悲鳴どころか怒号の渦と化するであろう。

2009/09/03

世田谷区のインフル対策 情報体制だいじょうぶ?

●今日の福祉保健常任委員会の途中で区立中学校でのインフルエンザ様症状(正確に言うとこうなるのか?)で学年閉鎖になったとの報告が入った●そのあと、夕方になって全議員あてにFAXで先の報告に加えて1校で学級閉鎖となったとの報告があった●気になるのはその最後に※学校名等は外部に公表しておりませんので、ご配慮のほどよろしくお願いいたします。という文章●風評の類を避けたいということなのだろうが、夕方のNHKニュースを見ていたら、他区の小学校で学級閉鎖となりその分、ホームページで課題(宿題)を示し、担任の先生が電話等で進捗状況をフォローしている状況を学校名をあげて、しかも記者がその学校からレポートし先生の姿からホームページの内容まで放送していた●なんか学校名を隠すとかのレベルなのだろうかと感じた。FAXは世田谷区の保健所からで、表向きは「世田谷区新型インフルエンザ対策本部」からとなっている●学校現場との連絡体制はどうなっているのだろうかと気になった。そこで調べてみると。今日報告のあった2つの中学校について、その中学校のホームページで学年閉鎖となったと伝えているのは1校で、もう一つの学級閉鎖の中学校はほとんど更新すらされていない。もちろん学級閉鎖の記述もない●以上のことから、まず保健所と教育委員会の間で学校名を伏せるとかの協議がなされていない。他区ではそれは一例に過ぎないのかも知れないが、全国放送までしているのにである●次に、教育委員会の中で学校のホームページの活用が徹底されていない。他区では宿題等のツールにさえ使っているのにである●学校は地域の拠点である。インフルエンザに限らず、防災においても一時的に避難先と考える時、ホームページで情報を発信していれば無駄な労力が省ける●それ以前に、学校教育領域において学級閉鎖の情報ぐらい発信できないということは、電話による連絡網すら個人情報とかで作れない現状にあっては、どんなものなのだろう。もちろんメールでなんとかやっているのかも知れないが、それは学級閉鎖レベルだからで、学年閉鎖とか規模が大きくなるとメールだけでは追いつかなくなるのではと考える。

福祉保健常任委員会

●だいたい全部で24件ほど。途中10分ほどの休憩をとって4時間の委員会。福祉保健常任委員会はいつもこんな感じ。一番長い常任委員会●それでも1件あたり10分平均だから深い議論かは別。通常、深すぎる議論は委員会終了後に個別で担当者を呼んで、納得の行くまで尋ねるのがフツー●ただ福祉領域は多くが“国からパック詰めで送られてきたものをマニュアル通りに開封解凍して提供する”ことが仕事のようで、世田谷独自で“調理”とか“味付け”ができない、ようである●しかしこれだけ世の中の環境が変わっている中で、福祉の眼差しというものが固定的で良いのだろうか、と思う●例えば(10)の住居を失った離職者を支援する新たなセーフティネットの構築に伴う「住宅手当緊急特別措置事業」実施について。これは簡単に言えば解雇された人に生活保護基準での住居費を補助しますよ、というもので月額約7万円●これなどは失業すれば住宅費に困るという着想であろうが、今この経済危機の中で、失業しなくとも家を失う人は少なくない。
【福祉保健常任委員会その2に続く】

福祉保健常任委員会 その2


●左は8月22日の毎日新聞。記事によれば住宅ローンにおいてボーナスでかなりの部分を返済する方式の人が困っているという●ボーナスゼロという事態に直面しているからだ。この人たちはまだ失業には至っていない。またボーナスは業績給のようなものだから景気が回復すればボーナスも復活する可能性はある●しかし記事ではボーナス返済分を月額返済に直したら、途端に月収ではやっていけなくなって、家を売却するしか手がないということである●新聞ではこのようなケースが急増しているという。住宅都市として知られている世田谷区でも少なくないはずである●福祉が困っている人たちを救うということであるなら、困っている段階に応じて、メニューを揃えるということもあって良いのではないか、と考える●つまり、決定的に困っている人たちをに手を差し伸べるのは当然であり、これまでの思考回路であろう●現在は、上記のように失業しなくとも家を売る、つまり世田谷から出て行く可能性がある、しかもそれらの人たちは必ずしも世田谷区から出て行きたいとは思っていないはずである●自治体の基本は住んでもらってナンボという面がある。確かに失業者に比べてボーナスカットの人は生活のノリシロがまだまだあるのかも知れない。住み方を変えればどうにかなる問題であるだろう。しかしせっかく世田谷に根をおろし生活しようという気持ちは救われない●福祉という考え方がもっと循環しながら付加価値を増す方法を模索するすることがあっても良いのでは。現在の福祉の中には、「使い切り」という制度設計が少なくないのではということである●その他インフルエンザとか本人確認のなりすまし事件とか区立幼稚園のあり方の検討開始とか、関心のある方は直接、区へ、或いは私にメールで照会して下さい。

わざわざホテルでテレビを見るために?

●国政では「税金の無駄遣い」を徹底的になくして財源をみつけるなんて民主党は言ってるけど、大丈夫かと思わせる記事が今朝の各紙に●都議会の民主党である。読売、毎日は当たり障りのない内容だが東京はかなり大きく、朝日は詳細に問題点を突いている●やはり新聞は見比べてみないと実態はわからない●要するに15人など行く必要がないということである。東京新聞によると「にぎやかし」に1500万円以上が税金で支出され、民主が第一党になっても何も変わらないのか、との声があがっている、という●もっともである。ちなみに民主7名、自民5名、公明3名ということで、民主が率先して行くということである●さらに朝日ではその「にぎやかし」の内容について報じている。15人が行っても肝心のIOC総会には都議は数人しか入れず、残りの都議は現地のホテルなどでテレビ中継を見るという。そのほかにホテル内で決起集会をやるとか●そんなことに税金を、である。ましてや民主党は都の現行計画にある五輪スタジアム新設に反対しているのである。それって、むしろその方が招致にはマイナスじゃないの。つまり招致の足を引っ張っておいて、「にぎやかし」には率先参加で行ってきます、ってこと?少なくとも五輪スタジアム新設がなければ東京なんて選考外であろう(だいたい東京五輪招致なんて石原都知事の問題そらしに違いないと思っているが)●心ある民主都議は「効果があるかわからないのに、行く必要があるのか」とぼやいている●本当に税金の無駄遣いをなくそうというなら、まずこういうことから徹底的に見直さなければ何も変わらない●区議会も同じようなことがある。

2009/09/02

転ばぬ先の知恵

●改めて考えてみれば、「憲政の常道」に従い、国民に信を問う、という形で解散を行っていれば、こんなことになっていなかった、ということである●「憲政の常道」といのは戦前の慣例となっていた言葉であるが、やはり先人の知恵が凝縮された言葉ではないだろうか●今から思えば、やはり3分の2を自公が衆院で持っていたからと言っても、安倍内閣の、あの放り出し方の時に、多くの国民は、余りにもひどい、無責任だと感じたと思う●あの時に、つまり参院選で自民が負けてねじれ現象が起きた時に、国民に信を問えば、もちろん勝ちはしなかったかもしれないが、今回のような結果にはならなかったかも知れないし、失地回復の芽は残ったかも知れない●それを3分の2を背景に政権のたらい回しを繰り返し、結局、壊滅に至った●もちろんタラ・レバの過去の話ではなく、民主党政権も同じだからである●すでに政策を実現するには4年はかかる、とか言い始めているが、それこそ自公政権と同じ轍を踏んでいるのではないか。むしろ、内閣支持率が軒並み20%を割ったら、解散して改めて信を問う、というのが実は長期政権への道であり、それにより政策を微調整し、また支持率が落ちないように、もちろん支持率のために政治をするのではないが、結果として支持率が落ちないように頑張るのではないか●「憲政の常道」というのは民主主義のルール(3分の2再可決)を超えた知恵ということである。

2009/09/01

決算委員会の準備あれこれ

●世田谷区議会も10月から決算特別委員会が始まる。その準備委員会が今日初会合を迎えた●私の方からは、まず10時開会をもっと早くできないか、という発言をした。国会でも9時から予算委員会などテレビ中継している●しかしこの発言は議論しているうちに、なかなか困難なことがわかってきた。その理由の一つは2時間を超えて決算審議を避けるという原則を打ち破れなかったからである●何時間でも議論しても構わないというのは私だけで、普通は、2時間で休憩というのは常識的であり、人道的でもある。ましてや答弁側の役人の緊張は議会側とは異なる●となれば9時開会でも11時には休憩時間を入れなければならない。また正午頃には昼食休憩を入れなければならない。結局、開会を1時間早めても休憩時間の回数が増えるだけで終了時間は大して変わらない、ということらしく、9時開会という発言は撤回することに●次に発言したのは、決算委員会の委員長の答弁者指名のことである。もっと質問者の意向に沿った答弁者指名を考えたらどうか、ということ。基本的に委員長に指名権はなく挙手した答弁者を指名するだけだと事務局は答えていたが、それは時代遅れではないだろうか●というより、そのあたりが委員会運営をつまらなくしている、と思う。日本の議会は本会議と委員会審議とを現実的には区別して、どちらかといえば、本会議では公的な確認の場として、委員会では細かい議論と、使い分けている、結果として。そして通常、委員会では委員一人の持ち時間制限もなく、自由に発言できる●しかし決算、予算の特別委員会は議長及び監査等の関係議員を除けば全員参加型で50人近い委員で構成されているから、時間制限を設けなくてはならない。それでも一日8時間拘束の委員会が続く●限られた時間での答弁は質問者の望む役人に答えてもらいたいということもある。もちろん余りにもお門違いの答弁者希望は無理だろうが●そのあたりの機微について発言したのであるが●結局、区長が手を挙げようとしているのを、いかにも制止するかのように横の理事者とか後ろの理事者が大きな声で手を挙げる場合に限り、区長を優先的に答弁指名するような方向で、今日のところは終わった。

案の定

●民主党の新政権(予定者)が自公政権が景気対策として5月に成立させた14兆円の補正予算を執行停止するとかアナウンスするものだから、地方自治体がパニックになっている●世田谷区でも財政担当者が気を揉んでいる●国の補正予算が世田谷区民に届くまで5ヵ月かかる。その届く前に、その補正予算はなかったことにしてね、その代わりにあとでもっと良い補正を作るから、と民主党の新政権(予定者)が言い始めたからである●もちろん新政権の勢いは現在ピークにあるから、リアリティーが恐怖に変質し実質を伴わないアナウンスにさえ狼狽するのは理解できるが、それは余りにも買いかぶりというものであろう●民主党は民主党である。選挙に大勝、圧勝しても能力そのものが向上するわけではない(自信と権力は増大しても)おそらく組み替えも凍結も手つかず仕舞いで、時間切れというのが“見たて”である。当面何も変わらないし、何も決まらない。長い目で見守ることが何より肝心である。今は。

国と地方との関係

●先日、世田谷区の補正予算の説明があった。内容は国の補正予算を地方自治体(世田谷区)で実施するものが大半。景気対策として地方に分配する流れになっている●ところが民主党政権ではこの国の補正予算を凍結して組み替えるとしている●世田谷区の補正予算の説明の時にも、まだ選挙(結果)の前だったが、これらの財源はほとんど国の予算を根拠としているが、民主党は見直すと主張しているけど、見直したらどうなるの?●そう尋ねたが、選挙前ということもあって、そうなれば・・・と区の役人も困っていた●案の定、選挙結果が出て、世田谷区の補正予算についても影響が出そうである●もちろん“政権交代のコスト”はつきものであり、国民の選択の結果であれば甘受しなければならない●ただし、国と地方(自治体)との“取り引き慣行”はまさに国役人と地方役人の“信用取引”に近い部分がある。それは前例踏襲や毎年同じ年中行事という枠組みでいくぶん担保されているのだろうが、確たるものではない●つまり国も地方も、お互い困らないという“信頼感”で成り立ってきた●しかしこれは一面、不透明な関係ともいえる●霞が関だけが戦々恐々としているのではない。地方役人(役所)も同じである●実はその“戦々恐々”の中味を検証するのが議会の役目である。