2016/12/26

ハインリッヒの法則


●年末の小さいベタ記事。内容は簡単に言えば、納税申告書(保存義務5年)5人分が世田谷区の課税課室から消えた?という事件。

●区側の説明によると、「誤廃棄」ということらしい。なお上記記事は19日に行われた議会説明(企画・総務委員会)以降のもの。

●役所的には、すでに申告書の内容は電子データに入力済みで課税事務そのものには支障をきたしていないとのこと。しかし、簡単に「誤廃棄」されてしまうような書類なのだろうか。

●云ってみれば、個人情報満載の書類であり、詳細は省くが、厳重な状況で手続きが行われていたはずであり、“間違う”などということなどあり得ない。

●つまり、区の説明ではあまりにも不可解すぎて、まるで役所内に幽霊でもいるかのようなストーリーになっている。おかしい!



2016/10/29

ガソリンスタンドあった!芦花公園

左掲の記事は、世田谷区の保育待機児問題から派生した“事件”である。

都立公園の一部を利用して、保育園をつくろうという計画であったが、こともあろうに、その公園敷地から、基準値の16倍の鉛が検出されたというもの。

東京新聞の記事によると、土壌汚染が確認された場所は1990年代にガソリンスタンドがあったという。

そこで、1985年の住宅地図を見てみると、現在の芦花公園は拡張された後であり、その当時はまだ住宅が並び、環八沿いにガソリンスタンドがあった。



緑の部分及びガソリンスタンドの部分が現在は芦花公園として拡張された部分。現在のところ、ガソリンスタンドと鉛検出の因果関係は立証されていない。

都は「盛り土」を対策で考えているという。

さらに、閉鎖区域のすぐ外にある、公園内の汲み上げ式の井戸水はそのまま使えるようである。(10月29日現在)ちと不安、検査はしたのだろうか。

2016/10/20

福祉の未来

昨日(10月14日)行った、国際福祉機器展というのは、15日夕刊の「よみうり寸評」によれば、もう始まって40年以上もたつという。当初は細々で、現在は障がい者も含めて3日間で10万人以上が訪れるとのこと。

知ったのは東京ビッグサイトになってからだが、やはり今年は多いように感じた。

それに今回は住宅機器メーカーや家電が(例えばLIXILとかパナソニックとか)かなり大きなポジションを占めていたのが意外だった。

さらには、「手すり」の専門の業者が、以前より店を広げていた。最近では部屋の中に「垂直な手すり」(突っ張り棒の強度版?)も需要が高いよう。


「よみうり寸評」でも紹介されていたが、センサーがかなり応用されていた。徘徊対策や、施設内での“位置確認”システムにはもやはGPSは常識のようである。

介護の世界に日本の「精細な技術力」こそ、必要不可欠であろう。先進国の中で、超高齢化社会の先頭を走る日本の技術者たちのチャレンジに期待したい。

右は左手を添えるだけで、スプーンが自律的に皿からすくって口元まで運ぶロボットハンド。

またお手軽なものとしては「楽々ハンド」というものが活況を呈していた。いわゆるマジックハンドの精巧な感じといったもので、重さ150グラムにすぎないが1キロくらいまで、つかめ、一方で1円玉や錠剤の1粒までもつかめるというもの。価格も数千円くらいで、車椅子の利用者等が使うと便利らしい。


介護の問題は、親世代だけではなく、実は私たちの問題になりつつある。決算委員会に出ている区役所の理事者(部長)クラスも、10年後、20年後を考えると、「立つ」「歩く」「かがむ」「掴む」「握る」ことさえ覚束無くなるのかも知れない。

2016/10/14

決算書類の問題点

世田谷区に限らないが、役所の出す決算書というのは完全な“予定調和”で貫かれている。すなわち借金も収入として見做しているから、結果的にはいつも黒字という結末。

民間で倒産というのは、借金しようにも借金できなくなった状態であり、どんなに赤字だろうと、リスク無視でお金を貸してくれる人(銀行)がいる限り、倒産しない。ただし、貸してくれる人が、いくらお金持ちでも限界はある。ましてや貸し手が銀行の場合、預金者がリスクを感じて、預金を引き出せば、その銀行は貸し続けることはできない。もっとも貸し手が“お金をいくらでも印刷できる”場合、いつまでも貸し続けられるので、倒産はいつまでも避けられる。国はまさにその状態である。

実は区から提出された決算書類3冊(合計、1,115ページ!)の端から端まで見ても、具体的な事業の数値的な正確な姿は見えない。


役所の決算書類は全事業をバラバラに分解して、大昔の基準で分散させているので、例えば、世田谷区の保育所の事業運営費はどれくらい掛かっているのか、その数字が載っているページを正確に掴むことはできない。結果として役人以外には正確な合計額がわからない状態になっている。

実際には、世田谷区の保育所の事業運営費はどうなっているのか、担当部署なり、財政担当に尋ねれば、すぐとはいわないが、数字は出してくれるし、説明も十分にしてくれる。

しかし、尋ねなければ答えないという伝統的システム、というのは議会審議として、問題である。

昨今の都議会を見ていて、つくづくそう思った。

世田谷区の決算委員会では、その点の不備(書類には細かい数字が並べられているが、そもそもの人件費を始め全事業の実態はわからない欠陥)を改めて指摘した。

(写真は14日まで東京ビッグサイトで行われていた「国際福祉機器展」数年ぶりに議会日程と重ならなかったので行けた)




2016/10/12

財政規律の緩みの危険性

安倍政権の財務省の口を封じて、日銀にジャンジャン国債を買わせて、という政策も、結局は不発に終わった。

12日の日経新聞では、ついに、「財務省を信じない首相」、とまで一面に書いている。

そのことは別面で、安倍政権は国としての「財政健全化計画」を事実上、勝手に変えて、1000兆円にも達する「国の借金」に責任を負わない政策に踏み切ろうとしていることを伝えている。

また別面では、メガバンクのトップが日本の国債は、かつてのような安全性はなくなったので、購入も長期保有も控える旨の発言を載せている。(これは大変なことである)

「財政健全化計画」とは、1000兆円を超える借金に目処を付け、後世代へのツケを少なくする、歳出カットの計画である。

安倍政権とすれば、社会保障費を削ることに耐えられなくなった、ということでもあろう。要するに、人気のない政策なんて嫌だ、消費税だって1回上げれば内閣の仕事としては十分だと思っているらしい。(山口敬之著「総理」によれば)

日経新聞は、歳出カットの原典である「財政健全化計画」をもっとゆるーく改正して、財政規律を棚上げにしていいですか?を問うのが年明け解散の一つの目的だと書いている。

確かに、選挙で勝利すれば、安倍政権のやろうとしていることを承認したことになるかも知れない。

しかし、先進国の中で突出している「国の借金」が、いつまでも世界経済の中で「特別扱い」さるわけがない。

ここまでの日経の警告は、これまで黙らされてきた財務省あたりの「後ろ盾」がなければ書けないことだろう。





2016/10/11

区の決算から国債までのひとりごと(只今決算委員会中)




と云っても全額、区の裁量で使えるという訳ではない。区を通じて、事実上、国や都の事業となっているものが含まれる。

世田谷区の平成27年度決算(上記)によれば、区の収入の約7割(71%)2003 億円が一般財源ということで、いわゆる、区の裁量で使える、としているが、実態面からいえば、特別区税と特別区交付金を合わせた、1620億円(58%)ぐらいが、“着実な収入”だろう。(2823億円は収入額であり、実際の支出額は2721億円。では差額の102億円はどこに?ということだが、繰越し額という形で次年度に引き継がれる)


区役所の人件費は平成27年度決算では441億円。さらに区が管理する施設(公共施設で「まちづくりセンター」「区民センター」「図書館」および「区道」「公園」)の維持費は今後厳しく見積もっても年間550億円(公共施設等管理計画)以上かかるとされている。すなわち、あわせて約1000億円は最低限の“固定費”として消えて行く。

※保坂区政では、公共施設の維持管理費を先送りして、決算上の辻褄合わせや区の借金隠しをしているので(選挙対策及び自著で数字を誇るため)、決算書はアテにはならない。決算書とは別の「世田谷区公共施設等管理計画」の数字(年間550億円)が現実的な数字である。


実は、区の税収から「国民健康保険事業会計」、「後期高齢者医療会計」、「介護保険事業会計」に合わせて250億円を平成27年度決算では投入している。保険料だけでは足りない分を補填している。しかもこの250億円は今後増大する高齢者を考えれば減ることはない。


世田谷区の収入(歳入)は2823億円。国や都からの補助金を除いて、“着実な収入”は1620億円くらい。そのうち、“固定費”として1000億円(人件費と公共施設維持費)、また医療保険の足りない分の補てんに最低でも250億円かかり、合わせて1250億円は“鉄板”で支出される、というのが私が見る単純化した構造である。残りは実質370億円くらいでやり繰りしているイメージである。

もちろん、“着実な収入”ではない部分が1500億円もあるではないか、という指摘は当然で、国や都からの支出金というのは世田谷区の事業として存在することは冒頭で述べた通りである。

或る事業の4分の1は国の負担、都の補助という形で渾然一体となっているのがザラであり、むしろ区の支出だけで成り立っている事業の方が少ない。

よって、世田谷区の収入や支出を、これは国のお金、これは世田谷区のお金と分けることに何の意味があるのか、ということだが、では国からのお金はどこから来るのだろうか、というのが本稿の本質的な疑問である。


国の税収は58兆円であり、支出は96兆円。足りない38兆円は借金でまかなわれている。(平成28年度国家予算)

つまり国の補助金の原資は借金につながり、その借金が回り回って、世田谷区にやってきている、という構造である。(誰でもわかっていることだけどね。)



かつて、財務大臣が日本の借金(国債)はそのほとんどが日本人が買っている、国民の預金を通じて日本の銀行が国債を買っているから大丈夫と述べていた、記憶がある。

要は、日本の銀行が国債を保有している限り、勝手に売らないだろう、ということだろう。

しかし、10日の日経新聞によると、「海外勢の国債保有は全体で1割、満期1年未満に限ると49パーセントに達する。いつの間にか国債市場は外国人が活発に売買する「国際市場」となった。」とある。

日経新聞は今月に入って、日本国債の不安要因を示す特集記事をトップに載せている。満期1年未満に限ると、約半分が海外勢の保有ということは、短期金利は海外勢によって一時的に“操作”できるということである。

えっ、満期1年未満とは言え、海外勢がそんなに保有していた!とは驚きである。そこで、先日、日銀がこれからは国債の買い入れ量から、長期金利のゼロパーセント誘導という政策変更の意味がわかった。

つまり海外投機家が国債を売り浴びせて儲けようとしても、日銀は断固たる決意で買いまくり、そんなことをしたら大損しますよ、という宣言をしたということなのだろう。

しかし、経済の根本がマイナス金利で動いているというのは誰が考えても、何かがおかしいのではないだろうか。


その可能性を日経は示唆しているのではないだろうか。そのことは、回り巡って、世田谷区の収入の約3割を占める国からの補助金は、相当細くなっていく。

国からのお金が滞ったら世田谷区はどうなるか、という時の私なりの整理の仕方が、本稿前半である。もちろん日本経済が混乱を極めている時に、特別区税と特別区交付金もダメージを受けないはずはないから平時の数字はあてにはならないのだが。

2016/10/03

保坂区長の背景にあるもの


上は保坂区長が自分の本を販促しているユーチューブ。
https://www.youtube.com/watch?v=XssNG6OMA94

注目はうしろの幕。

実は先日の決算委員会で会派の桃野委員が、区長室を使って公然と営業行為(自著の宣伝!ネットでも買えます!)なんて、やって良いのか?と質問。

桃野委員が指摘した時点では、背景は明らかに区長室であり、(下図参照)区長側も昼の休憩時間に撮ったのだから問題ないだろうと、開き直る次第。



しかし、あまりの品位の無さに区としても呆れた結果、謎の幕の登場となった、らしい。

が、問題はそういうことだけではない。もちろん、幕がある動画は区長室で撮ってまーす、という逆証拠。(区長室でなければなぜ隠す必要があるだろうか?)

それよりも、ここで言いたいのは保坂区政の本質が、このように、幕一枚、小手先の解決に終始していることだ。(区長の後ろで幕を持たされている職員?は可哀想!)



2016/08/20

脱原発区長はなぜ得票率67パーセントで再選されたのか?その2

上は8月16日の朝日新聞に載っていた保坂氏本の広告。

内容については手にして戴くとして、ここではこの広告のリードがいかに空虚で錯覚に満ちていることに触れたい。

この広告の保坂氏の写真の左下あたりに、本のエッセンスらしいことがが5つほど示されている。(小さくて読みづらいけど)

その中の一つ。「子ども・教育関連予算を711億円(H27年度)と10年前の2倍に増額した」と書かれています。しかしこれはどういう事実なのでしょうか。


実際、H27年度(右端)から過去に遡って、子ども関連予算を検証してみると以下のようになります。


グラフの右端がH27年度予算で711億円。そこから左へ遡ること10年前が黒い棒のH17 年度で、349億円です。確かに2倍になっております。

しかし、グラフ全体を見ての通り、保坂区長の前の熊本区長の時代(5年前)でも、10年前の2倍は達成していたのです。(H23年度の668億円とH13年度の275億円)

保坂区長になって、グラフで言えば、右からの4本の青い棒ですが、子ども関連予算は実際にはダウンしていたのです。

任期中3年間は子ども関連予算は抑えられていたにもかかわらず、最後の選挙直前だけビヨーンと増やす手法。それをもってして、さも、自分だけの功績のごとく錯覚させる手口は、区民を目隠しして保坂ワールドへ誘なう基本的なテクニックです。

こういう小手先の弁術には長けている保坂氏。決して大きなウソはつかないが、小さい錯覚を積み重ねることによって全体の事実を自分の都合の良い方へ導く“論法”は天下一品と言って良いでしょう。

広告のエッセンス部分のもう一つをあげれば、「1期目4年間で認可保育所を24カ所、認証保育所を19カ所増やした」とありますが、それでは4年間保育待機児ワーストの世田谷区の現実はどうなのでしょうか。

また「赤字続きだった区の財政を22年ぶりに「借金ゼロ」へと黒字化した」とありますが、これは行政の内部からみると、単に、すべき仕事を先送りしていれば、出費は減り、入りは貯まるということに他なりません。

災害対策に直結する新庁舎問題に対して贅沢庁舎(現庁舎を保存しつつの新庁舎案)にこだわり、問題を先送りしている現状、災害対策に不可欠な生活道路への投資へのためらい等々、区長としての決断の遅れが、皮肉にも黒字化の原因になっているのです。

最後に、誰も注目しない保坂区長という現実があります。だから自分で本を書き、自分で判定し、自分で絶賛するという哀しい三役をこなさなければならないのです。

仮に世田谷区政が褒められたとすれば、それは過去の区政のレガシイによるものであり、現区長とは関係がありません。

そのためか、本著の後半は、これまでに何度も書かれた保坂氏の中学時代の武勇伝の繰り返しで、またその話かい、と少々シラけてしまうかもしれませんが、知らない方は相模原市からわざわざ千代田区まで越境入学をしていた中学時代の話は世田谷区政とは関係ないけど新鮮かも。

2016/08/18

脱原発区長はなぜ得票率67パーセントで再選されたのか?

妙なツクリの本が発売された。

もちろん重箱の隅をつつく程度の話だが、チリも積もれば山となるの例えのごとく、夥しい錯覚の連射の中に保坂区長の虚妄が隠されているから書かざるを得ない。

この本の表題からすれば、観察対象は保坂区長(候補)の選挙戦のはずと買い手は思うだろう。簡単に言えば、保坂候補はなぜ高得票率で当選できたのかという謎解き、分析本だろうと。


当然、分析者は第三者というのが買い手の前提であろう。

しかしである。妙なツクリというのは、著者が保坂展人氏本人であり、分析も本人が行っている点にある。

要は自画自賛本の典型ということである。

ただし、実際にはロッキング・オンの渋谷陽一氏によるインタビューという内容になっている。

まあ何でもありの保坂氏のことだから今更、驚くことでもないが、この手の本のツクリとすれば、インタビュアー渋谷陽一という記述が表題にあるはずであり、まさに得票率67パーセントで当選した分析は渋谷陽一氏が行ってこそ、客観性が形式的にこそ付与されるものだろう。さらには相手陣営への取材がなければ本来の客観性は保てないはずである。

しかしながら、この本では一方的に保坂氏がインタビューに答え、自分で分析し、結論づけているのである。であるならば「私はこうやって勝った」というのが素直な表題のつけ方であろう。

客観性を装いつつ、一方的な価値観にすでに踏み込んでいる、というのは保坂氏の得意技(難点?)である。(庁舎問題における迷走などはその典型で、区民の代表的な声に耳を傾けることなく、勝ってに独走し、自ら隘路に陥るという時間の浪費の繰り返し)

最後に、この本を手にする前提として、現職区長は選挙に強いという事実を知らねばならない。

区の催事から広報から入学式から卒業式からその他の印刷物、お祭り、集会等で現職区長自身も名前も露出し放題である。それが4年も続けば知名度は飛躍的に高まる。それは全国の自治体でも同様である。

著者の保坂氏は得票率67パーセントを、こんなにも高い得票率と確信しているようだが、果たしてそうなのだろうか?

昨年の4月の同日に行われた区長選挙は11区ある。現職区長は全員当選している。新人が当選したのは現職が引退した区である。



実は保坂氏は現職区長の割には得票率が低いのである。得票率は立候補者数によっても左右されるが、それを割引けば保坂氏の得票率は区部の中でも低い部類なのである。

得票率だけに注目すれば、この本の表題は他区と比べて「現職区長なのになぜ低得票率67パーセントで再選されたのか?」ということにならないだろうか。

モノの見方は多様かつ多面的である。すでに昨年の対立候補の名前も顔も記憶にない区民も少なくないと思うが、同様に保坂区長の実績を言える区民もどれだけいるのだろうか。

知名度の差を、支持率の差のようにすり替える魂胆があるとすれば、それは違うなぁ、というのが率直な感想である。まあ、ミニワールドの権力者である保坂氏らしいが・・・。

●ちなみに、以下は読売新聞のネットから





委員長からの残暑見舞い?

前回ブログより、よりわかりやすい記事が都政新報(行政関係の業界紙)に!

改めて、今回の報告書は、これまでの保坂区長の考えの甘さや、行政感覚(危機管理センス)の著しい低さを指摘している。

例えば、保坂区長の新庁舎に対する考えは昨年3月(区長選直前)に策定した所謂、「中間まとめ」に示されているが、今回の報告書は、その「中間まとめ」の欠点を具体的に指摘している。(と記事から読める)

すなわち記事によると、「今回の報告書では基本的方針として、中間まとめで打ち出しが弱かった災害対策機能の強化に加え、区民の利用しやすさへの配慮、円滑に業務を行うための機能性と効率性及び柔軟性の確保、環境負荷の低減を図るよう強調した。」

これは当時から議会各派が述べていたこと。

つまり、保坂区長は首都直下がいつ来ても不思議ない状況下にありながら、昨年の3月に至るも、災害対策機能の強化は重要視していなかった、ということである。

熊本地震をもってして本庁舎機能の重要性を区長が認識したとすれば、世間知らずもいいところだろう。(実際はそうなのだろうが・・・)

さらに8日の区長記者会見で記者の以下のような質問に対して保坂区長は明確に答えている。

記者:本庁舎整備についてお聞きしたい。本日この後、報告書を受け取るということだが、その中に現庁舎の空間特質を継承するということが盛り込まれると思う。2月の区議会定例会では、自民・公明両党の議員が「私たちが継承しなければならないのは中庭の景観ではない」と言っている。自公が議会の過半数を占めているわけだが、議会に対しどのような説得をするのか伺いたい。

区長:議会でも、「とにかく早く整備をすべきである」、「災害対策について強く留意を求める」など、それぞれ意義のある庁舎についての思いを言われていると思う。ただ、委員会の議論では現庁舎については空間特質を継承するとされており、現存する庁舎をそのまま残せとは言っていない。空間特質という言い方には幅がある。後段部分は、合理的な事業計画がありうるならば、という限定付きで現存する庁舎を保存することも考えるべきだということである。

「合理的な事業計画がありうるならば・・・」というのは世間知らず区長への、委員長からのささやかな残暑見舞い程度のものであろう。

2016/08/12

本庁舎整備の基本構想検討委員会の報告書


●8月8日に区長に提出された報告書を読む。たぶん何を言っているのか、わからないだろう。理由はすべての可能性を盛り込んでいる体裁となっているからである。つまり読み手の立場によって都合よく“響く”文章構成となっているからである。

●肝心な部分は41ページに詰め込まれている。赤字は引用部分。

(3)建設手順について
○仮設庁舎について
外部にまとまった仮設庁舎を確保できれば、効率的な工事が可能になり、工期短縮なども見込むことができるが、現時点では、適地を見出せていない。そのため、建設手順では、外部に仮設庁舎が不要な案とする必要があるが、今後、引き続き仮設庁舎の確保の可能性について検討していく。(P41)

●上記の表現はもう2年前から議会で再三指摘している部分。「・・・建設手順では外部に仮設庁舎が不要な案とする必要があるが・・・」

●不要な案とする必要があるなら、それ以下の表現は、それこそ不要だろう。


○工期について
近隣住民への影響、施設利用者への影響、職員への影響を最小限に抑えるためにも、工期は短縮していく必要がある。可能な限り2期工事(5年程度)で終わるよう、民間の技術も活用しながら、工期短縮に向けて様々な手法を検討していく。(P41)

●ここでも遠慮がちな表現ながら工期は約5年と明示している。


(4)現庁舎等の空間特質について
50年以上区民に親しまれてきた本庁舎、区民会館、広場等の空間特質をできるだけ継承する計画とする。さらに、本庁舎等の課題を踏まえ、求められる機能、規模の確保と最も合理的な事業計画(コスト削減、工期短縮等)が可能であれば、現庁舎等の活用も考慮する。(P41)

●空間特質とは簡単に言えば、前川建築の雰囲気のこと。それは継承していきましょう。ただし現庁舎等の活用についてはコスト削減、工期短縮等が可能であれば考えてください、と述べている。

●冒頭の仮設庁舎にこだわるのは、仮設庁舎ができなければ(工期短縮ができず)現庁舎の活用は諦めざるを得ないからである。

具体的な配置や構成については、基本構想において示された条件に基づき、設計者からの提案を受けて、最終的に決定することとする。(P41)

●報告書では庁舎面積、必要な機能、工期、予算規模をまとめている。あとは“設計者の腕”によるということであろう。

●ただし、アンビルトの女王と称する建築家が存在したように、設計図では可能でも、それを建設する施工業者がいるかという問題もある。

●実際、委員会の中で委員長は何度も前川建築を残すことは難解なパズルを解くようなもので果たして・・・という趣旨の発言(警鐘)をしている。

●さて、報告書は保坂区長のもとで基本構想案がまとめられる。区長もいい加減、現実的な対応に徹する時期に来ている。「世田谷YES」が今期のウリなのだから・・・。

2016/07/14

親族も?ダメ?そんな馬鹿な!

確か、自民党の男性国会議員が民主党の女性国会議員と結婚したニュースがあった。

その後、一方が落選したらしいが。夫婦だろうが親子であろうが、思想信条は別々であって、自由勝手である。

それが、こともあろうに、「各級議員(親族等含む)が非推薦の候補を応援した場合は、党則並びに都連規約、賞罰規定に基づき、除名等の処分の対象となります。」という文書を今回の都知事選直前に自民党都連は配布した。

上記の夫婦は(都民ではないかも知れないが、政党員として応援はするだろう)どうなるだろうか。

党員を引き締めるのは当然としても、親族等を含むというのは、何事だろうか。

これが都連だけの感覚なのか、それとも自民党全体に共通する感覚であるとすれば、政権党として大問題である。

2016/07/08

実感を伴わない保坂区政

6月16日に行われたトークイベントで保坂区長は次のように述べている。
「では、区長選はどうして勝てたのか。それはやはり2011年に区長に就任してからやってきた4年間の政策を区民が見てくれたと思うんです。」
http://blogos.com/article/182357/

それが大勝の理由だと、言いたいのだろうが、全く根拠が無い。

なぜなら昨年の区長選の直後(一ヶ月後)に行われた区民意識調査によれば、7割から9割近くの区民が、保坂区政の主要政策を知らないと回答しているからである。


●地域防災力の向上 81.5パーセントが知らない。

●エネルギーをたくみに使うまち
世田谷推進プロジェクト2014 81.2パーセントが知らない

●世田谷区の就労支援 71.1パーセントが知らない。

●地域包括ケアシステムの推進 76.3パーセントが知らない。

●熱中症予防対策 70.6パーセントが知らない。

●子ども・子育て応援アプリの導入 85.8パーセントが知らない。

●若者支援事業 86.3パーセントが知らない。

●「土のうステーション」の設置 72.6パーセントが知らない。

●世田谷みどり33 73.5パーセントが知らない。

●世田谷9年教育 77.5パーセントが知らない。

つまり、ほとんどの区民が保坂区長の政策など、見ていなかったということである。

一方でこれらの政策について、良い取り組みだと思うか?という問いについては6割から8割近くが「良い取り組みだと思う」と答えている。(この回答の求め方にはかなり誘導的な部分が含まれていると思うが)

このことは一見すると矛盾のように見えるが、そうではない。政策には賛成するが、実感は伴わない、そういうことである。

23区は共有の財源(財調システム)で、均衡ある都市運営が課されているので、区長の働き所は、ホントのところ、実行のスピードにあると言って良い。

自宅を2つも構え(下北沢と狛江市)公用車を無駄に往復させ、あらゆるマスコミに登場している保坂区長に、実務をこなせる時間は限られる。23区の中で、周回遅れは、議会という間近で見ないとわからないかも知れない。


以下、区民意識調査の回答表。


2016/07/01

本質と付加価値

6月29 日、日経夕刊のグラフィックデザイナーの佐藤卓氏のエッセイ(著名人の人生を振り返り、ターニングポイントを紹介するショート版「私の履歴書」)を読んでなるほど、と思った。

「ものが売れない時代になると、『付加価値』の重要性が叫ばれる。しかし、私はこの『付加価値』を頭から否定している。これを言いだしてから、日本のもの作りはダメになったとさえ言いたいくらいなのだ。」

「『価値』とは、モノの外側に付け足していくようなものではない。」

この言葉から連想したのは庁舎問題のことである。

調べてみたら、現庁舎が著名な建築家の設計であった、という一連の流れは、庁舎の価値とは別のいわば、『付加価値』に過ぎない。

あるいは定着した風景というのも半世紀を経て備わった『付加価値』である。

庁舎問題の本質は庁舎の価値が失われている、というところから論じられる問題である。

老朽化・分散化・首都直下に未対応、中庭から避難広場の創設等々、特に非常時への未対応という部分が庁舎の価値からすっぽり抜け落ちているのが現状である。

庁舎を芸術品のような視点から眺めるのは自由であるが、それが可能だとしても庁舎の本質とは別の『付加価値』でしかない。

本質的な「価値」と『付加価値』とを同じ土俵で論じられるとしたら、それは、とてつもない財政的余裕と時間的余裕のある時である。(そんなものは地方自治体にないので、「価値」優先、『付加価値』は意見があった程度に留めるというのが現実的選択)

現区長の特徴は、財政的余裕と時間的余裕を掛け合わせて考えることができない点ではなかろうか。何事にも。遅いことでは23区随一ではなかろうか。

2016/06/26

第5回 世田谷区本庁舎等整備基本構想検討委員会

4月の熊本地震での庁舎の惨状が世田谷区の基本構想検討委員会(世田谷区本庁舎等整備基本構想検討委員会)に与えた影響は少なからぬものがあったろう。

3月まで景観重視だの、多額の保存費用をかけて7年半かけて増築だのと言って議会を混乱させていた保坂区長も、災害の現実の前では目を覚まさざるを得ないだろう。
6月25日に開かれた5回目の基本構想検討委員会では、大方常識的な、すなわち災害対策重視の方向でまとめられたようである。
実際、私も傍聴していたが、客観的な報道として、毎日新聞によると、「検討委は『50年以上区民に親しまれてきた現庁舎などの持つ特徴を考慮した計画とする』と確認。区は今後、外壁など一部を保存して新庁舎に再利用することを検討する。」

記事のタイトルにある通り、「保存は難しい」というのが委員長の見解であった。各委員も含めて、“難解なパズルを解くようなもの”というような表現であったと記憶。

ちなみに4案プラス参考案とは以下の通り。これらの数字を無視して、なんとか安くできるとか、やれないはずはないという感傷的かつ時間軸を無視したやりとりは、うなづけなかった。

2016/06/24

質問力

こんな人生もあったんだ、と驚きの一冊。

イメージは誤解と隣り合わせだ。

小倉氏といえば、クロネコヤマトの宅急便の創設者であり、現在のネットビジネスのインフラを築いた経営者として有名であり、かつて国の規制と戦い抜いた勝者でもある。

筆者は小学館ノンフィクション大賞を史上初満票で受賞した森健氏。それまで誰も光をあてなかった疑問からドキュメントは始まる。

いわば、質問力(疑問力)がこの本のすべてといっていい。その質問(疑問)を丁寧に追っていく過程が素晴らしい。なぜ小倉昌男氏は、晩年それまで公表された人生の中で、なんの関係性もなかった福祉にのめり込んでいったのか。


同じく興味深く読んだのが「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」。

こちらも経営の極意は質問力(疑問力)だと喝破している。

この世の中おかしくない?なんでこんなことできないの?なんでこんなものないの?

交渉会派から離れて、質問力トレーニングしてみようと思う。

今、政治は何でもあり、何もできない状態に落ちている。

2016/06/22

交渉会派断念

参議院選挙が始まった6月22日、世田谷区議会の定例会も多くの課題を我々が指摘しながら終了した。

と同時に会派が政党の諸事情により、田中優子議員、桃野芳文議員と3人で再出発することになった。(諸事情についてはある時期からわかっていたことなので、これまで4人目を担っていたそのべせいや議員については3人は深く感謝しています)

会派で本日午後3時以降、議論した結果、これ以上、他会派に議会内のすなわち私たちの会派の事情で、迷惑を掛けることは控えたいということで、交渉会派残留の要望は取り下げました。

会派の責任者として、多少の願望を試みましたが、50人という定数の区議会にあって、議会運営について意見するには原則4人以上というのは、最低限必要だと実感したのが正直な理由です。

少数意見の尊重については私自身、この世田谷区議会で一番身にしみていると自負しています。が、議会運営の責任については、これは別問題です。詳細についてはまたにしますが取り急ぎ報告です。

2016/06/06

本庁舎と広場機能

6月4日に世田谷区の庁舎問題の検討会の4回目が行われた。今回は配置イメージがテーマ。

これまでの検討会でクローズアップされてきたのは災害時の広場機能。通りを挟んで国士舘大学の広場との連動という発想は貴重だ。

熊本地震のこともあり、区役所周辺からの避難区民は2000名を想定している。また支援物資の輸送拠点(集積所)は国士舘大学となっている。(もう一つは大蔵第二運動場)

下図は幾つかのイメージパターンで広場が一体で広いもの。

ただし、圧迫感は否めないという考えもあるが、広場がこれだけ取れるなら、必ず来るという首都直下(1回だけとは限らない)に備えて、安心という考えもあろう。





それに対し熊本地震が発生する直前までこだわっていたという保坂区長のパターンは参考程度の扱いで、大地震に備えたパターンにはなっていない。動線も長く、移動も複雑。また北側の国士舘大学の前庭との連携は遮断されている。







2016/05/31

議会が推進、区長が先送りだった庁舎問題



31日の読売朝刊に「大地震で継続使用できない恐れ」の庁舎の一つに世田谷区役所が挙げられている。


この問題は何回も触れているが、原因は保坂区長の無関心にある。

東日本大震災直後に誕生した区長であるにも関わらず、この本庁舎問題は議会が区長の尻を叩かなかったら、関心も示さなかったのは事実である。

以下は平成26年2月25日の私の質問である。

保坂区長は、世田谷区の最大懸案事項となる庁舎問題を余りにも軽く見ていた、あるいは逃げていたのではないでしょうか。

整備方針案の二ページ、災害対策というタイトルがついているところに、そのことが明確に書かれています。
 
読み上げますと、「平成24年6月から平成25年3月にかけて、災害対策本部の中枢となる本部長室等及び非常用の電源や水に係る諸設備の強化を図るため、第1庁舎と比べて耐震性の優れた第3庁舎を応急整備し、第1庁舎から本部長室等の移転を行いました」。
 
確かに、保坂区長は議会で言われてやりました。そして、それをもって災害対策に手を打ったようなことを言われていたと記憶しております。
 

問題はこの後の記述です。こう書かれております。「しかし、東日本大震災や、昨年の伊豆大島の土砂災害等の経験により、本庁舎に求められる危機管理機能は、以前よりも一層高まっており、88万区民の災害対策の中枢管理機能を果たすには未だ十分ではありません」。
 
いいですか、平成24年から区長のやったことは、区民に向けてちゃんと災害対策には手を打ちましたというようなメッセージを発信する材料にはなったかもしれませんが、でも、実態は「88万区民の災害対策の中枢管理機能を果たすには未だ十分ではありません」と書いてあります。

つまり、いまだに不十分ということであり、88万区民の災害対策の中枢管理機能は果たせないという、実に厳しい状況下にこの世田谷区は今もあるということです。
 
平成24年6月から災害対策本部室をとりあえず第3庁舎に移し始めたことは臨時的な対応です。

それから何をしていたのか、何もしていないのです。それはそうです。平成24年4月には庁舎計画担当部を廃止しているのですから。

結局、平成25年9月に調査計画担当課を復活させるまでの1年6カ月間の間、そのうちの10カ月を使って、災害対策本部室を第3庁舎に移しただけなんです。

以上は2年前の質問であるにもかかわらず、今も庁舎問題は迷走中である。(熊本地震の影響で、どうにか年内には基本構想が固まりそうだが・・・)

2016/05/30

世田谷区は規制緩和進めていますよ区長!


5月26日の福祉保健委員会で、家庭的保育事業を規制緩和する報告があった。

要は、小規模保育事業所A型で、朝夕の児童が少数となる時間帯における保育士配置について、現行では、保育士2人がつくことになっている。(0歳児と1歳児の二人の場合、)

これを7月下旬から保育士1人と、保育士でない者1人(区長が保育士と同等の知識と経験を有すると認める者)の組み合わせを認める、というもの。

簡単に言えば、保育士2人の配置を保育士1人と保育士資格のない者の2人でもよいとするもの。

世田谷区の実情からすれば、規制緩和は致し方ないことだと思う。しかし、規制緩和と監視強化はペアになっていなければ保育の質は低下する危険性にさらされる。

トップが規制緩和などしませんよ!みたいな言説をあちこちで振りまき、その実、規制緩和をしている(今回の規制緩和は区長決済事項)のだからタチが悪い。

委員会質疑で確認したところ、案の定、監視強化策は考えられていなかった。規制緩和には監視強化をというのは当たり前だろう。


ほど遠い世田谷区の児童相談所移管


改正法が成立して23区、世田谷区でも児相(児童相談所)が持てるようになった。

これを受けて、区長会の会長は「準備が整った区から順次、児童相談所の設置を目指す」と述べているが現実はどうだろう。

先日、福祉保健委員会で世田谷区にある児相(東京都所管)は世田谷区と狛江市をカバーしている問題を尋ねたところ、全然話は進んでいないとのこと。

法では23区に認めるとのことで、狛江市は切り離さなければならない。(財調との関連だろう)

では、東京都が調整してくれるのかと尋ねると、そんな話にもなっていないという。これって準備以前の問題である。

世田谷区の前を見据えた業務は停滞しているのではないだろうか。

2016/05/08

日常生活支援センター長

今朝の朝日新聞にはキョトン。この4月から世田谷区社会福祉協議会の「日常生活支援センター長」のことが大きく取り上げられていたからだ。

世田谷区社会福祉協議会とは区の外郭団体で主に地域の活動支援、日常生活の支援、困りごとの相談等々のサービスを提供する社会福祉法人。(区の外郭団体という点で普通の社会福祉法人とは異なる)

新聞記事では、世田谷区のことが報じられているかと思えば、記事の肩書きが、「元国会議員政策秘書」とあるように、その国政における政治歴がズラリ。永田町では相当活動していたようで、世田谷区に関しては「昨年4月の世田谷区長選で、再選を目指す保坂展人氏の選挙の中核を担いました。」とだけ紹介されている。

その後の“就活”については桃野議員のホームページに詳しい。


しかし不思議な話ではなかろうか。保坂区長の中核スタッフである人物が世田谷区の外郭団体の人員募集に応募するというのはどういうことだろうか。(それも3月の予算委員会で取り上げるまで採用された事はほとんどの幹部職員すら知らなかったし、単に保坂区長に近いというだけの人物ではないことはようやくこの記事で判明?)


因みに世田谷区の外郭団体の事務方は区役所OB及び出向現役職員である。

常識的に考えれば、採用するにせよ、しないにせよ事前に保坂区長もしくは周辺に伺いを立てるだろう。

また応募する側も保坂区長と昵懇なのだから、差し障りがないか、相談はするはず。

一方で、外郭団体とすれば、絶対に採用したくない、というのがホンネであろう。

定年退職して年金との関係で現役の半分以下の給料で働き、いわゆる区役所流儀の仕事で毎日を回している身としては、外部の人間が中に入ることは秩序が乱れて嫌なのだろう。しかも対応を間違えれば保坂区長の機嫌を損ない外郭団体からも追い出される。

加えて議会と揉めている保坂区長直結の人物となれば、厄介である。

今回、倍率は1、専門性問わず、しかも「日常生活支援センター長」という何をするのか曖昧な職種である。

区の説明によると地縁パワーに加えて新たにNPOとの協働やNPO連携強化となっているだけで具体的な目的があるのか不明である。

で、今回の朝日の記事である。ここから読み取れるのは選挙における集票戦術家(選挙参謀?)の姿であり、勝つとか勝てないとか、言葉が出てくるような、まさに元国会議員政策秘書というのが本質である。

記事の締めくくりで、記者は「地域で活動する中で、未来を切り開く手がかりをつかんでいた」と書いている。

「地域で活動する中で」ということが「日常生活支援センター長」という仕事であれば、その背後にある集票戦術家(選挙参謀)という本質はどこに向かうのだろうか。

なぜなら永田町を離れた時に「もう一度外から力をつけたい」と述べているからである。

「日常生活支援センター」での活躍が、とんでもない覚醒を起こす可能性はあるかも知れない。それが世田谷区にとって良いことなのか、新たな火種になるのか、わからない。

2016/04/07

代表質問の余話

2月の代表質問で、保坂区長の無責任なツイッター発言を取り上げ、そのことが世田谷区の保育園待機児問題をこじらせている、と追及した。

保坂区長は今から4年前に、「子どもの遊ぶ声がうるさい」というクレームを紹介し、盛んに「子どもの声は騒音か?」という発信をツイッターで続けた。

そのことが、これまで、いわゆる“受忍限度の範囲内”と思っていた人たちに、「子どもの遊ぶ声がうるさい」と主張していいのだ、という風潮を煽ってしまっているのではないか、そのことを追及した。

これに対し、保坂区長は、ドイツの裁判の事例を出し答弁をそらし、ツイッターを見て広めたのはマスコミだと責任転嫁をし、むしろ社会問題化して都の条例改正(子どもの声は騒音ではないという)に至ったではないかと、“成果もどき”をいつものように答弁した。

ドイツがどうしようが、都条例が改正されようが、世田谷区の保育園待機児問題は改善されていない。

マスコミが勝手に取り上げたのではなく、マスコミが取り上げることは何でも(区長としての責任を放棄してまで)ツイッターで発信する、その姿勢を指摘した。

実際に、見たこともないことを、あたかも見てきたようにツイッターで発信しマスコミを煽っていたことも指摘した。いわゆる「比喩的表現」事件のことだが。

区長の仕事は、まず「問題提起すること」ではなく、「問題を解決すること」に主眼がある。(ここが区長就任以来の保坂氏の認識の心得違いがある。すなわち、国会議員のつもりで区長をやっている、という)

私が求めた答弁は、「保育園で子どもの声がうるさいというクレームがあるという問題提起は逆効果だったかも知れない。少子化で、子どもの声を聞かずに生活する人が増えたため、そんな子どもがうるさいのなら保育園が近くにできては困る、と先入観を与えることになってしまった」というもので、

だから、今後は区長としての立場、保育園待機児問題を解消する責任から、発言には注意する、という内容だった。

なぜ、そのような“答弁”を期待したかと言えば、同じことをアエラ(2014年11月17日号)で保坂区長自身が語っているからである。
http://dot.asahi.com/aera/2014111900100.htmlhttp://dot.asahi.com/aera/2014111900100.html