■人勧とは「人事院勧告」のことで国家公務員向け■世田谷区については「特別区人事委員会」(23区共同)というのがあり、同様の“働き”をする■それにしても、まったくもって、その通りというコラムである。ただし注意したいのは、役人の仕事、或るいは役所は、民間企業と“似て非なるもの”ということである■そもそも人勧が民間給与を参考にすることに、大きな“論理のすり替え”があり、まやかしがある■最大の違いは、「未知」が存在しないことである■役所は想像を絶するほど「既知」の世界である。このあたりを民間企業の人に理解いただくのは、難しい■簡単に言えば、新年度がスタートする4月1日の時点で、年度末までのボーナスが全職員確定している、という説明で足りるだろうか■民間企業では3ヵ月先の給与さえ「未知」である。もちろんそれなりに組合は機能するにせよ、半年後に希望退職(リストラ)ということだって、十分あり得る■だから頑張る、しかない、というのが民間企業の姿である■例えばビール会社にしても4月1日の段階で、これほどの晴天猛暑という事実は「未知」である。おそらく今夏 どの段階で増産体制に転じたかが売上げ競争の分かれ目となり、ボーナスにも会社の未来にも影響する■要するに、何が売れるか、売れないか民間企業は日々「未知」と戦い、「決断」を強いられている■一方で役所はどうであろうか。言っちゃあ悪いが、「未知」なんてあり得ない、すべてが想定通りで進む世界である■“別世界”である。民間企業における「決断」など、誰もしたことがない■そもそもおカネが足りなくなれば借金すればいい。借金は国が勝手にやってくれる。地方自治体は、何の心配もいらない■言われた通りにやっていれば、定年までが「既知」の世界というのが、お役人の世界である■“親方日の丸”とはよく言ったもので、「決断」を強いられない仕事というのはアルバイトのようなものである■もちろんアルバイトでも過重な労働や適切な判断は求められるだろうが、一つだけないのは経営のおける「決断」である■公務員というのは国家に雇われたアルバイトのようなもので、その頂点に君臨するアルバイトの親分に忠実であることを求められるかわりに過大な身分保障を与えられている、そういう認識であながち外れていない。
2010/08/30
2010/08/28
ドーカツとカイジュウ
■左は今年1月14日の毎日夕刊(この2日後に石川議員が逮捕されるが、記事はその直前の小沢氏の得意の絶頂期のもの)■特集は一面を使い、かなり大きいものだが、この中で哲学者の梅原猛氏の分析がすこぶる記憶に残った■氏は一度だけ或る自然保護団体に頼まれて細川政権の実力者だった小沢氏と会ったことがあるそうである。その時の人物評が次の通りである■「人間の才能の一部である政治的才能のみが極端に膨れあがり、成熟した人格に必要な他の能力が未発達である人間を感じざるを得なかった」■当時小沢氏は50歳を超えた頃、梅原氏は70歳に手の届く頃である■さらに、このことを当時の新聞コラムに梅原氏が書いたらたちどころに、小沢氏から手紙が来たそうである「一国立機関の長が政治的意見を書くのはけしからん」当時、国立国際日本文化研究センターの所長だった■そして梅原氏は言う「私への手紙は文面こそ、柔らかな言い回しだったけれど、一種の恫喝。続けて、いっぺん会いたい、と書いてある。懐柔だ。恫喝と懐柔、これが彼の変わらぬ手法でしょう。むろん会いにに行っていない。彼は人間はすべて政治的だと思っているんだ。哲学をやっている私のような人間のことがわからない。でも政治家には彼の手法が通じる。だから北京へ民主党議員がぞろぞろ付いて行く。それに彼は一度離れた人間に怨念を持つ。そしてその人は敵となる」■何と表現したら良いのかわからないが、実にピッタリのエピソードだなぁと感心した。さすがに一回り上の哲学者は小沢氏の本質を喝破している■そしてここに、現在の小沢人気が国会議員に多く、国民の感度とは全く逆となっている解答となっている。
2010/08/27
応仁の乱
■昨年の衆院選の投開票日は8月30日。あれから1年。はるか昔のことのように思えるが今日の日経夕刊は、まさに現状の政治と経済の位置関係を如実に示している■トップが「多数派工作が激化」で、その下に「1ドル85円が続くと4割が海外移転」である■雇用が逃げちゃう!失業率が悪化する、国の経済が沈む、ということである(国民の経済的損失は計り知れない。もちろん資産的には1450兆円という個人金融資産の価値は上昇しているはずなのだが、それらが政策的に国債に吸収されて歴史的なゼロ金利状態に固定されているので海外投資のチャンスを奪っている。奪っていなければ、ここぞと海外旅行する人がいるのだから強い円で海外投資をして円は下がるはず。要するに国内の円は国債のために動けない)■こんな国家経済の一大事よりもさらに大きな記事が「多数派工作ごっこ」とは■しかも多数派を形成しても、分裂だの逮捕だのとまだまだ国の司令塔は定まらない。これは「バラマキ」対「無策」の天下分け目の“関ヶ原”ではなく“応仁の乱”である。まだまだ先が長い■それにしても何回も、繰り返しになるが、国が決めないと、決められないことが地方自治体には制度上、山ほどある■国が“応仁の乱”で忙しくて決められないのであれば、さっさと地方で決められるようにしてくれないだろうか。
2010/08/19
世田谷区の借金 その3
■世田谷区の借金772億円。228件のローンから成り立っている借金■今年度完済したもの(24件)もあれば、今年度から発生したもの(11件)もある■全体として今年度は118億円返済し、60億円新たに借りている■払った利子は15億円(約1.9%の利率)■15億円でもバカにならない■世田谷区が公式発表している来年度の財源不足は54億円(区のおしらせ4月24日号)■予算規模2490億円の世田谷区において54億円の財源不足が大問題となっている(左上記事はその大問題を解決するために設けられた世田谷区の検証委員会について、効果のないものだったと報じている日経新聞8月18日)■予算2490億円といっても国から出て右から左へのお金も多い。生活保護費167億円、子ども手当122億円、これだけで予算の1割を超えてしまう。さらに人件費が544億円で、合わせると833億円となる■生活保護費と子ども手当と人件費と並べたのは、これらは世田谷区では事実上、手を加えられない“出費”だからである■そのほかにも区が国の事業を“仲介”しているだけの費用がある。現実的には世田谷区らしさの予算は1割から2割程度といわれる、つまり250億から500億程度。その中での54億円の財源不足であり、最初の借金の話にもどれば15億円の利子といっても本当にバカにならない■ちなみに国からの生活保護費や子ども手当は、当然、国の借金で賄われている■国の借金を増大させれば破綻に近づく現在、生活保護費や子ども手当を機械的に増大させることがどんなことか、それこそ“すべてを失う”ことにほかならない■とりわけ生活保護費の問題については早急に考え直す必要がある。恐らく世田谷区の予算において生活保護費が167億円もあるということはあまり知られていない(事業項目としては人件費について2番目の出費)■生活保護費をめぐっての矛盾も多い。これらの問題点を改善するには「ベーシックインカム」や「負の所得税」のような発想の転換が望まれるが・・・。これは国での議論なのだが・・・。
2010/08/18
世田谷区の借金 その2
■世田谷区の借金771億円。一体どこからお金を借りているのだろうか■情報公開の資料から計算してみると以下のようになる。
関東財務局 437億(57%)
ゆうちょ銀行 195億(25%)
銀行 63億( 8%)
区民(ミニ公募債) 50億( 6%)
東京都区市町村振興協会 13億
地方公共団体金融機構 11億
東京都 2億
関東財務局 437億(57%)
ゆうちょ銀行 195億(25%)
銀行 63億( 8%)
区民(ミニ公募債) 50億( 6%)
東京都区市町村振興協会 13億
地方公共団体金融機構 11億
東京都 2億
■関東財務局とは財務省、その原資をたどれば国の借金■ゆうちょ銀行も、その原資は国民の郵便貯金■東京都区市町村振興協会は宝くじ■地方公共団体金融機構も原資は国の借金■・・・要するに・・・世田谷区の借金は国の借金頼みである。或いは国民の貯金に掛かっている■これまでは地方自治体がその借金の“出所”について考える必要はなかった。それはあたかも、子どもが親の収入の出所を気にかけないのと似ていた。しかし今となっては、親の収入というのが借金であったり、或いは高利貸しからの借金ではないかと、子どもながらに、将来、降りかかる債務を考えて生活しなくてはならないような時代である■そこで国家財政を考えるとき、『税金の無駄をなくす』というレベルでは一向に改善しない。借金財政を見直すにはもはや『優先順位の低い税金の使い道をカット』することから始めなければ、地方自治体の経営は成り立たない。
2010/08/17
去りゆく工場
■シャープの液晶テレビで有名な亀山ブランド。三重県が進める破格の企業誘致(補助金135億円支出)として2004年に同県亀山市に生産工場が完成■以後、有名女優、シャープ、亀山ブランドは日本の液晶テレビの代名詞となった■しかし2010年の今、亀山工場の液晶パネルの生産設備がわずか6年で解体されている。中国に持って行かれ、そこでまた生産設備として使われるという■亀山市の考えた“企業城下町”など夢の夢で、工場周辺にはコンビニもなく、せっかく建てた単身者用アパートもがら空き、とのこと■8月17日の朝日夕刊のコラム「窓」がそのことを伝えている■たった6年で。わずか6年で。三重県も亀山市も驚いているだろう■しかしこれが企業の生き残り戦略の現実である■この問題を正面から論じているのが「国際標準化と事業戦略」という最近話題の本■圧倒的な技術力・開発力を有する日本企業が市場競争力を急速に失っていく分析は、まさに驚きに値する■世界市場という視野でものごとを考えさせることが「強制」されている。
2010/08/15
世田谷区の借金 その1
■国の借金は途方もない額だが、まず足元の自治体を考えてみる■世田谷区の借金は771億円。一体これらの借金は何に使われたのか?■そんなの予算・決算の委員会に出ているなら先刻承知だろうと思われるが、全体を知る議員は少ない■以下、情報公開で手に入れた古い資料を元に記してみる■世田谷区の借金771億円。228本のローンから成り立っている。ローン期間は最長25年から5年まで■金利は6%から0.8%まで■“最古”のローンは昭和61年から平成23年までの二子玉川小学校体育館建設費の2億4千万円。借入先はゆうちょ銀行(旧東京郵政局)今年度1995万返済、来年度1908万返済してローン完済となり、晴れて小学校体育館は“区民財産”となる(当時の小六生は37歳になり、親子二代に渡って体育館を利用、ということもあり得る)■つまり、予算・決算の委員会に出ている議員でさえこの“最古”のローンのことを覚えているのは何人もいない■国の借金もこうしてたどっていくと、いろいろなことが見えてくるはずである。ましてや“国のローン期間”は60年■増税する前にまずこれまでの借金の構造そのもを再検証する必要がある。
2010/08/07
2010/08/06
世田谷区の人口
■世田谷区の人口(外国人含)は今年の5月1日現在で登録上85万人を突破した■登録上というのは、住民基本台帳と外国人登録の2つである。ただしこれでは、上京して世田谷区に住んでいる学生等で住民票が地方にある場合等カウントされないので、実態については東京都が発表している推計人口の方がよりリアルである(推計人口とは国勢調査に基づき、毎月の登録上の人口の変動等を加え、実際に住んでいる人数を推測したもの)■それによれば7月1日現在で86万7511人ということである(これは山梨県、佐賀県、福井県、徳島県、高知県、島根県、鳥取県を抜いている!)■登録上の人口が80万人を突破したのが平成14年であるから、8年間で5万人の増加ということになる■簡単に言えば世田谷区内に館山市(千葉県)とか、三浦市(神奈川県)がまるまる移ってきたような感じである■そもそも世田谷区には基本計画というものがあるが、それによれば世田谷区の人口のピークは平成33年、つまり今から11年後となっている。しかしながらその想定上のピークをすでに平成20年に超えてしまっているのである■要するにピークの時期を13年も読み間違えて、しかもそのピークは年々更新されつつある。8月1日現在で世田谷区が平成33年に迎えるだろう人口のピークをすでに1万1692人超えている。こうなると基本計画そのものが前提を失っているということである■一方で都市農地(生産緑地)の宅地化はどんどん進んで、毎年2ヘクタールから4ヘクタールの宅地が区内で“生産”されている■世田谷区の登録人口が80万人から85万人に増加した平成14年から平成22年、どの地域が増加したのだろうか■地域人口の増加率は世田谷が5%、北沢が1%、玉川が6%、烏山が6%に対し、砧は13%と飛び抜けている■北沢の地域人口の増加が極端に低いのに対し、砧の増加ぶりは異常である■これを市町村であてはめてみると(全く意味はないがイメージとして)、世田谷地域はこの8年間で新たに南伊豆町(人口1万・静岡県)が移ってきたような感じであり、同じく北沢地域は渡嘉敷村(人口9百人台・沖縄県)、玉川地域は美浜町(人口1万1千・福井県)、烏山地域は奥多摩町(人口6千・東京都)、そして砧地域は室戸市(人口1万7千・高知県)という具合である■まちの変化は、言われてみれば、という感じでしかわからないものである。また、にぎわいは外部にどれだけ開放されているかによっても変わる■とは言ってもデータでみる限り、世田谷区の人口が増加するということは、農地の多い、みどり率の一番高い砧地域で変化が起きているということである。
無料のからくり
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■前から気になっていた■そもそも無料で回収というのが、わからない■しかし記事によれば「中古テレビなど家電製品を回収するため家庭を訪問した際、回収を頼んでいない製品まで勝手にトラックに積み込み、抗議した人には『もう返せない』などといって、抗議を聞き入れないなどの行為を繰り返した」(上掲赤線部分)や「軽トラックが呼び止められると、代金を先に言わず、庭先や物置などにある様々な物品を勝手に積み込んだうえ、『作業の手間をどうしてくれる』などとすごんで代金を請求、動揺した人の中に10万〜20万円を支払った人もいるという」(朝日新聞)ということだったのである■くれぐれもご用心を。
2010/08/04
どっちもどっち
世田谷区議会議員 | S並区議会議員 |
61万7000円 | 59万9000円 |
■ 世の中には、わかったようでわからないことが多い。上の表は世田谷区と隣区の区議会議員の報酬月額である■これらは毎年公表されている数字であり、区境に 近い人は駅などで隣区の広報紙を手にして知ることができる■しかし、公表されていない年収で比較すると“逆転”する■どちらも正しい数字であるが、期末手当の計算数値が異なることから、こんなことになる■区議報酬に対する批判は当然としても、役所の公表する数字には更に奥の数字があるという実例である。
世田谷区議会議員 | S並区議会議員 |
1040万 | 1061万 |
2010/08/03
市民が予算を決める
■7月30日早朝のNHK ニュース。「市民が予算を決める」という取り組み。なるほど地方自治のあるべき方向の一つであろうと思う■ただし、このようなやり方には“最大の弱点”が隠されている■それは、そのおカネ(税金)がどこから来たのか?という認識が省かれている点である■最初からお金が用意され、使い方決めて下さい■これでは役人の、ある意味、野放図な仕事ぶりを擬似的に市民に追体験させるだけである■それでも経済が右肩上がりの時は良い。弱点が露呈するのは税収が落ち込む時である。つまり「市民がマイナス予算(予算を削ること)を決める」ことになる時である■その時初めて、そのおカネ(税金)がどこから来たのか、考えざるを得ない■現在の市民自治の最大のテーマは「市民がマイナス予算を決める・市民が予算を削る」ことができるか、この一点にかかっている■このことが出来れば(合意形成が出来れば)、もちろん地方議会など、いらないのかも知れない■残念ながら世田谷区においては、先にあげた検証委員会では“マイナス予算を決める”合意には至らなかった■結局、議会という“解毒作用機関”で“マイナス予算”を考えることになるのである。
2010/08/02
政策提言を読む
■7月26日に出された政策検証委員会の提言を読んだ■残念ながら、せっかく選りすぐりのメンバーを集めたにもかかわらず、中途半端な提言に終わっている■たとえば“政策目的に合わなくなったものは見直せ”というレベルの提言はあっても、その先がさっぱり■恐らく、あとは役所で考えろ、ということなのだろう。(提言は役所・区長に対して出されている)■これは考えようによっては“見もの”である。役人が現在行っている政策で、「今どきこんな政策おかしいんじゃないか」って廃止や見直しをすることを想定しているわけだ■そうなれば、まさに政策検証委員会としても意味のある提言をしたことになる■それにしても、想起するのは、「大事なことは区民が決める、しかし何が大事かそうでないかは役人が決める」という構造である。「大事なことは首相が決める、しかし何が大事かそうでないかは官僚が決める」というのも同様である■住民自治とは何が大事かそうでないかを住民が決めることから始まるのではないだろうか。その意味では今回の検証委員会の課題設定は明らかに役人が設定したものである。
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