2010/08/30

偉大なる高給アルバイト

■人勧とは「人事院勧告」のことで国家公務員向け■世田谷区については「特別区人事委員会」(23区共同)というのがあり、同様の“働き”をする■それにしても、まったくもって、その通りというコラムである。ただし注意したいのは、役人の仕事、或るいは役所は、民間企業と“似て非なるもの”ということである■そもそも人勧が民間給与を参考にすることに、大きな“論理のすり替え”があり、まやかしがある■最大の違いは、「未知」が存在しないことである■役所は想像を絶するほど「既知」の世界である。このあたりを民間企業の人に理解いただくのは、難しい■簡単に言えば、新年度がスタートする4月1日の時点で、年度末までのボーナスが全職員確定している、という説明で足りるだろうか■民間企業では3ヵ月先の給与さえ「未知」である。もちろんそれなりに組合は機能するにせよ、半年後に希望退職(リストラ)ということだって、十分あり得る■だから頑張る、しかない、というのが民間企業の姿である■例えばビール会社にしても4月1日の段階で、これほどの晴天猛暑という事実は「未知」である。おそらく今夏 どの段階で増産体制に転じたかが売上げ競争の分かれ目となり、ボーナスにも会社の未来にも影響する■要するに、何が売れるか、売れないか民間企業は日々「未知」と戦い、「決断」を強いられている■一方で役所はどうであろうか。言っちゃあ悪いが、「未知」なんてあり得ない、すべてが想定通りで進む世界である■“別世界”である。民間企業における「決断」など、誰もしたことがない■そもそもおカネが足りなくなれば借金すればいい。借金は国が勝手にやってくれる。地方自治体は、何の心配もいらない■言われた通りにやっていれば、定年までが「既知」の世界というのが、お役人の世界である■“親方日の丸”とはよく言ったもので、「決断」を強いられない仕事というのはアルバイトのようなものである■もちろんアルバイトでも過重な労働や適切な判断は求められるだろうが、一つだけないのは経営のおける「決断」である■公務員というのは国家に雇われたアルバイトのようなもので、その頂点に君臨するアルバイトの親分に忠実であることを求められるかわりに過大な身分保障を与えられている、そういう認識であながち外れていない。