2009/07/28

公立病院について2

●公立病院をめぐる問題として、いわゆる事務方と医者とのミゾがあげられる。役人のトップはだいたいが法学部出身である。以下公務員のピラミッドは事務方で構成されている●そこには事務方が描く公務員像があり、公務員社会像がある。流れているのは“法治万能感”みたいなものである●確かに日本は法治国家であり、また法治国家でなければならないが、法治にも限界がある●医療や健康、或いは教育といった分野である。そこには法治とは別の次元での医療関係者や教育関係者がいる。特に医療関係者は生命と直結する現場にいる●法律という文章だけで仕事をする者と、メスや聴診器や医薬品で仕事をする者とが必ずしもシンクロするとは考えられない●しかも事務方の仕事は予算管理(お金の管理)という無機質な対象である。その乖離は想像以上であろう●前出の後藤武氏によれば、「診療報酬」そのものが赤字体質を産むようになっていることと、勤務医のなり手の動向が現在は非常に不安定であり、それこそ医療従事者の給与改善をしなければ先々の見通しは悲観的であると述べている●見るところ、日本の医療全体を構造的に変えないと、「公立病院」という名称の“いつでもどこでも安心したサービス供給という“響き”は保証できないようである。