2014/05/13

やはり公私混同


 5月9日午前8時半、区長一行は成田空港に到着(総務課長が回答)。6日間で685万円を費やしたオランダ旅行が終了した。
 
 と、同時に今回の旅行の“主目的”について保坂氏のツイッターであっけない形で“白状”されちゃている。


 保坂展人氏は朝日新聞デジタルに「太陽のまちから」という連載コラムを書いている。帰国後、一番にオランダ旅行の成果をそのコラムで紹介すると言う。
 
 これはどういうことだろうか。連載コラムは私的なものであり、執筆料があれば当然個人的な収入となる。将来は一冊の本として販売されるのだろう。

 要するにコラムニスト保坂展人氏が区長という立場を利用し、公金を使ってコラム執筆の取材旅行をしてきた、という解釈にならないだろうか?コラムは保坂氏個人をアピールする手段である。そこで、ああだこうだと教育論を展開しても行政とは別物である。
 もちろん保坂氏とすれば、「太陽のまちから」というコラムは誰でもが無料で見られる公開性の高い一般的なブログであり、単に朝日新聞デジタルという場所を借りているに過ぎないという主張もあるだろう。そこに自分が見聞してきたことを真っ先に公表して何が悪いという考えもあるかも知れない。が、そこに保坂氏流の小手先のテクニックが隠されていることに案外気づかない区民も多い。保坂氏は自分の行政能力の狭量さを個人的な発言で補い、実際以上に大きく見せる手法を多用している。ある程度、行政(権限)に通じている区民なら稚拙な手法だと見破れるが、区長の方ばかり見ている区民にとってはなかなか見分けがつかない。保坂氏の発言が区長としての発言なのか、コラムニストとしての発言なのか“微妙な配合”が為されているからである。


 区長は地方自治法上、執行機関と呼ばれる。そして区長の独裁暴走を防ぐために他の執行機関として、教育委員会、選挙管理委員会、農業委員会、監査委員が設けられている。それぞれの執行機関は世田谷区の条例、予算その他の区議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく世田谷区の事務を、自らの判断と責任において誠実に管理し及び執行する義務を負う。(地方自治法138条の2を世田谷区に読み替え)まさに区長、教育委員会、選挙管理委員会、農業委員会、監査委員が、自らの判断と責任において誠実に管理し及び執行する義務を負うのが「お仕事」なのである。こんなことは地方公務員試験のイロハ。それを教育長が誘導して公費で区長とコラボでオランダ旅行というのは「自らの判断と責任において」とはほど遠いのではなかろうか。もっとも区長ではなくコラムニストを連れて行ったというのであれば、この件に関してはつじつまが合いそうだが・・・。
 しかし4月28日の記者会見で保坂区長は区長としてオランダを訪問する“心意気”を次のように述べている「区としては、区立学校の教育環境整備に責任を持っている。様々な教育環境の向上に向けて努力をしていかなければならない。教育関係の予算も最終的には判断、策定をし、決定する責務を私が負っている。したがって、教育に関わること、とりわけ海外での事例についてしっかり勉強することは、教育委員会、あるいは現場の責任ある教員にとって必要だが、同時に私にとっても有用なことである。私個人にとってというよりは、区がこれから教育環境を整備していくうえで有用だと思う。たとえば、先ほど例に挙げたが、障害のある子に対する支援のあり方ということも課題を抱えているし、様々な学習方法、IT機器の活用等々、教育現場も変わっていかなければいけない。それについて、環境整備をしていく責任があるので、しっかり仕事をしてこようと思っている。
やはり区長として訪問したのである。それにしても区長としての上記のような認識には驚く。「教育に関わること、とりわけ海外での事例についてしっかりと勉強することは、教育委員会、あるいは現場の責任ある教員にとって必要だが」の下り。オランダに行くことを正当化したかったのだろうが、今の世田谷区の教育の現状として「とりわけ海外での事例についてしっかり勉強すること」が必要とは思えない。明らかにこの認識はコラムニストの保坂氏のものだろう。
「しっかり仕事をしてこようと思っている」と云う仕事が、コラムに執筆することだったのであるから。