2013/07/24

公共投資と公共消費

 投票日の前日に伝えられたデトロイト市の破綻。23日の読売は続報を載せているが、本題は「人ごとではない財政破綻」。

 「日本の国そのものがデトロイトと同じ苦境に直面している」という視点で報じている。主要産業の衰退、人口減少等に対して有効な手立てを打たず、既得権にすがる層が破綻に追い込んだ、ということだ。

 翻って日本、自民党が大勝しても1千兆円にもなる借金大国は変わらない。アベノミクスとやらでも借金大国への治療策はない。それどころか「公共投資」で地方を活性化などと相変わらず言っている。

 ほとんど言葉の誤用である。バブル期以降の「公共投資」は一部の都市を除いて、ことごとく「公共消費」でしかなかった。

 このことについて、20日の日経ではバブル期に乱立した地方の公立劇場が運営難で苦境に陥っていることを伝えている。

『財政難の岐阜県は県民文化ホール「未来会館」の運営を2年前の4月から休止。奈良県上牧町のペガサスホールも6年前から休館、4年前の4月から運営休止となった北海道深川市のパトリアルホールは地元の文化祭の間だけ開館する』

 結局、建設したはいいが維持費が捻出できないということで休館。事実上の廃館である。

 つくればつくるほど、維持費で地方が疲弊する「公共投資」という名の「公共消費」、しかもその原資は国の借金の増大でまかなわれている。

 アベノミクスの第三の矢である成長戦略も方向性だけで中身はカラッポである。踏み込めば既得権益とぶつかる状況。対外的に勇ましいことを言っても国内の既得権益と対峙できないというのはおかしくないか?

 実際、国家戦略が希薄なままでの「公共投資」などありえない。この国をどうやって食べていける(若者が働ける)国にするのか、観光なのか、医療なのか、農業なのか、文化なのか・・・その際の障壁は何なのか、民間の役割は何なのか、公共投資の範囲はどこまでか・・・。

 少なくとも、経済が活性化し、結果として税収が上がるような「公共投資」でなければ破綻である。