2010/04/29

選管委員の月額は違法

■4月27日、大阪高裁で地方自治体にとって重要な判決があった。関東圏では別の司法関係のニュースに隠れて報道されていない■しかしネット社会では関西圏のニュースでも知ることができる。以下は時事通信より。

選管委員長以外の月額報酬は違法=「著しく妥当性欠く」−大阪高裁

滋賀県が労働、収用、選挙管理の各行政委員に月数回の会議出席で毎月一定額の報酬を支払っているのは地方自治法に違反しているとして、吉原稔弁護士(69)が知事を相手に支出差し止めを求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。岩田好二裁判長は、選管委員長のみ月額報酬を認めたものの、そのほかの選管委員や、労働、収用両委員については一審判決を支持、支出を違法として差し止めを命じた。
非常勤の行政委員の報酬をめぐっては、高額過ぎると批判され、日当制に改める動きが出ている。この判決は見直しの流れを加速しそうだ。
判決は、行政委員の報酬に関する地方自治法の規定について(1)勤務量が常勤職員に準ずる(2)役所外での事実上の拘束が多い−などの特別な事情がある場合のみ月額報酬制が適当と指摘した。
その上で、選管委員長を除く3委員に関し、2003〜08年度の実際の勤務1日当たりの報酬は約10万7000円〜約7万8000円として「著しく妥当性を欠く。地方公共団体の裁量の範囲を逸脱して違法・無効」と判断した。同約4万8000円の選管委員長については容認した。(2010/04/27-19:32)

 
■詳細および判決文がわからないので報道ベースでしか言えないが、選管委員長だけ月額を認めたのは、合点がいかない■とはいえ、地裁レベルで認められた“状況”が一歩進んだことは良いことである。訴訟を提起された吉田氏には敬服するしかない■翻って世田谷区では私たちの会派としても議会を通じて区長側に問題提起している■その結果として「世田谷区特別職報酬等審議会」の意見書(平成21年12月22日付)において、「今後はこの問題の契機となった滋賀県の住民訴訟に対する司法判断について注視するだけでなく、他自治体における動きについても参考にすることが必要であろう」という言質を確認している■滋賀県の住民訴訟とは上記の大阪高裁判決のことである。今後最高裁での結論を待つことになるかも知れないが、すでに他自治体では見直しに踏み切っている■行政、および立法、まあ立法というには余りにも小さな機関かも知れないが世田谷区議会の私たちの会派は。(地方議会の役割は立法機関というより議決機関の役割の方が圧倒的に多い)■それでも司法の結果を見てから、それに従うのは、良しとはしない、という思いがある■おかしいと思ったら、それは自分たちで変える、これが自治の精神ではないだろうか。