2009/11/13

国の予防スタンス

●季節性のインフルエンザ(つまり新型インフルと区別して例年流行るインフルエンザのこと)での国内死亡者数は2000年以降でも2000年1万3千人、2003年1万1千人、2005年1万5千人と年によってバラツキがあるものの、驚くべき数である●しかもこれらの死亡者の8割以上が65歳以上の高齢者であるという●一方で、OECDの報告によれば日本は先進国20のうち65歳以上の季節性インフルエンザワクチンの接種率は17位(2003年)であり、その問題性が指摘されている●つまり65歳以上の高齢者に季節性のインフルエンザのワクチン接種を高めれば、死亡者数を抑えられるのではないかということである●しかし季節性のインフルエンザは任意接種であり、自治体の一部補助があっても全員に全額補助ということではない。(若干の例外を除いて)そういうこともあって日本の65歳以上のワクチン接種率は43%という低さであり、トップのオランダ79%、英国76%、フランス67%、米国66%と比べても格段の差である(2003年)●もちろん死亡者数が2001年、2002年はそれぞれ200人台、300人台と季節性インフルエンザの猛威も下火の時もあるのでワクチン効果との関連性が認められない年もある●しかし予防という観点から考えればワクチン接種しか手段はない●にもかかわらず最大の疑問点は、年によっては1万人以上の死亡者が出る季節性インフルエンザに対して国の対策は、弱すぎるのではないか、ということである●もっとハッキリ言えば、65歳以上の死亡数が8割を占めるという季節性インフルエンザに対して国がワクチン接種を進めようとしないのは、そうなっても(死亡しても)構いませんよ、任意ですからね、と突き放しているようにも見える。さらには65歳というのは前期高齢者であり、年金世代の始まりでもある●要するに年金を支払う側から、支払われる側になった途端、国は予防接種の安全網を切ってしまったような感じである●国のワクチン対策の基本的なスタンスはどうなっているのだろうか。どうみても季節性のインフルエンザに対してワクチン政策を変えれば1万人を超える死亡者はもっと抑えられると思うのだが。


●というのも、今般の新型インフルに対するワクチン接種に対しても、地方自治体レベルではさかんに季節性インフルエンザの例にならう、という方針が或る意味絶対視されているからである。そもそも、その季節性インフルエンザへの対処というものが正しいのか、という所が素朴な疑問なのである。