2020/08/06

PCR検査拡大に反対する人はいない





世田谷区の区長が「世田谷モデル」と称して、PCR検査数を1ケタ増やす、と言っている。1日3000件。これは現実(8月現在)を考慮しない理想論であり、ただちに実行できることではない。(もちろん出来るに越したことはないが、財源も法的な枠組みも曖昧なままの思いつきである)

●本ブログを書いている最中に8月5日22時に世田谷区のHPで「保坂区長の提唱している「世田谷モデル」は国や東京都の協力がなければできません。」 旨の声明が出されました。役所の文章で何を言っているかわかりづらく、さらにはトップの考えを部下が否定する内容ですから、注意深くよまなくてはなりません。



当然です。テレビで大々的に区長たる人が言えば、区役所に電話や問い合わせが殺到するし、実態は下記の通りですから、完全な業務妨害。トップが部下の仕事を意味もなく増大させているのですから・・・。


実は7月31日に福祉保健委員会で公表された「新型コロナウイルス感染症予防対策について」(ページ数30)では、「世田谷モデル」のことには触れていない。聞いてみると区役所の中では、「世田谷モデル」なんて知らない、テレビ報道で知ったくらいで、財源も仕組みも人員も何も検討されていない、ということだった。

驚くに値しないのは、役所内でも議会でも「保坂区長のまたか?が始まった」といった認識があるからである。保坂区長の「独走的発走」は今に始まったことではない。そのことはここでは蒸し返さないが。

下掲は、本来の「新型コロナウィルス感染症予防対策」(P26)であるが、現状(8月上旬)では最大検査数は363件であり、それを「拡充後」は603件にするという。

しかし委員会では「拡充後」とはいつなのか?については、「できるだけ早く」調の答えしかなかった。


現実の世田谷区の行政は、検査数300を600に引き上げる、というのが限界というところ。

もちろん、行政の言い分を鵜呑みにするつもりはないが、実際の仕事を見ると、保健所を中心とする区役所体制は、これが限界の備えのようだ。 



 
まず最初は症状を訴える人がPCR検査を受けることになるが、検査結果が陽性となれば、濃厚接触者を特定し、積極的疫学調査で、PCR検査を受けてもらう。その段取りと実行をするのが保健所の仕事。

保健所によれば、感染者一人に対し、多数の濃厚接触者が発生するために、一人ひとりへのPCR検査の案内や結果通知、健康観察(14日間)に大変な労力がいるらしい。


 
また濃厚接触者の定義は、厚労省によれば「感染者が発病した日の2日前から1メートル以内かつ15分以上の接触」等々、いくつかの調査項目が決められていて、保健所はそれに従い、感染拡大の範囲を決めている。


さらに、感染者の入院ということも、或いは軽症者の療養施設(ホテル等)の確保、その療養施設の施設内感染拡大防止への監視体制(施設の構造により全部異なる)等々と仕事は、一律の対応が困難な分、増え続ける。

さらに自宅療養 しかできない人もいる。子供を抱えた両親が陽性の場合、かつ軽症の場合である。近隣の親戚等に支援を求める。(追記 その近隣に頼める人がいない場合の方が多いかも知れない。そうなると保健所の仕事はさらに増加する。)


PCR検査前後から始まる、連絡はそのほとんどが電話である。8月で8回線、9月には10回線 (下掲、対策のP25)であり、3月の3回線より増大し、合わせて転送も可能となっており、実際には可能件数は大幅に増やしている。 

以上、世田谷保健所の実際の業務を見てみたが、いっぱいいっぱい。感染拡大がどこまで増えるかわからないが。それでもPCR検査は600に向けて、というのは保健所の職員、および応援要員(他部署)の激務を伴い「働き方改革」の話を一旦横に置かなければ機能しないだろう。

そして医療、介護等の従事者も同じである。このことに関しては区長の「独走的発走」とは異なる計画として、区内の社会福祉施設の職員や入所者、1000人程度を対象に「抗体保有調査」を施設単位で行うことが決められている。
 
(ちなみに、抗体保有調査は血液1滴10分で結果判明、過去に感染した痕跡の有無がわかる。WHOでは診断目的での使用を推奨していないが、疫学調査目的ではその可能性を示唆しているという 


上記主張は首相官邸での政策会議において7月30日付で慈恵医大の大木隆生氏の意見である。



要は「経済か命か」という二項対立に至らせた原因を一度排除してみれば良いという指摘である。

特に現在の日本では排除できる特異性があるのではないかという見解である。 じっと我慢ではなく、すでに実際の現実はこんな状態になっているのではないかと。(追記、実は理由は不明だけど日本ではそれほど恐れる感染症ではないのかも知れないという事実で社会が動き始めているのではないかと。)

そうなれば、東大先端技術研究所の児玉教授の言う通りのことが実現できるはずである。