2014/08/08

石破氏の彗眼

 夕刊フジのネット版で過去の石破氏の発言が掲載されている。これは平成19年の参院選で第一次安倍政権が敗北した直後の石破氏の発言だ。当時は石破氏は安部首相の責任を追及する急先鋒だった。

「(安倍)総理は『私を選ぶか、小沢(一郎)さんを選ぶかの選挙』とあれほど言った。それで(有権者は)小沢さんを選んだ。そのことをどう思うかと聞かれて、総理は『私は使命を守る』という。答えになっていない。国民の意志を完全に無視している」

 これはまさに、「特定秘密保護法」や「集団的自衛権の閣議決定」の一方的な安部首相の主張と軌を一にする。答えになっていない。答えになっていないのだ。石破氏の政治的感性はまともだと感じる。

 さらに石破氏はこうも言う。


「総理は『私の内閣』とか『私の使命』とかそういう言い方をするが、内閣は個人のものではない。『私の使命』って、王様じゃないんだから」

 これも憲法解釈を一内閣の勝手でやってしまう第二次安倍政権の今日を予見させる発言である。これは今から7年前の石破氏の発言である。

 さらに石破氏は言う。参院選敗北の責任を取ろうとしない安部首相を糾弾して

「私だったら即座に辞めて、落ちた人のところに謝って回る。でも総理は落ちた人の気持ちが分からない。総理は週末ごとに大きな私邸だかなんだか知らないがお帰りになり、普通の人が行けないようなレストランでお食事になる。選挙の苦労もしていない。苦しい状態にある人にシンパシーが持てない。選挙で奥さんともども土下座して落選した人の気持ちはわからない」
 
 安部首相の本質を喝破した石破氏の去就が注目されている。内閣と党という距離のある関係ならいざしらず、これほど価値観の異なる人が内閣の一員となるはずはない、と思う。