2011/08/25

公務員のあるべき姿

 左は都政新報の8月23日版。目黒区役所の職員組合が、目黒区の財政危機は「根拠がなく、つくられた財政危機」と主張している。その理由の一つとして「目黒区だけが大騒ぎしていて、他区では同様の動きがない」としている。しかしそれは誤りである。世田谷区でも財政的に破綻の未来図しか描けていない。大騒ぎはしていないがここ数年深刻な問題という認識はほとんどの区にあるはずだ。そもそも日本の財政危機からして知らぬはずがない。
 景気が悪ければ税収は下がる。一時的な落ち込みなら基金を取り崩して間に合わせれば良い。しかし政府の経済政策の失政によって(というよりバラマキ優先で他は無策)いつまでたっても新たな産業は育たず(時代にあった規制撤廃をしなければ旧態の産業構造は変わらない)景気低迷である。しかも震災とこの円高となれば、当面税収が伸びるとは考えにくい。
 基金取り崩しでしのいでいる現状を改めなければハタンすることは想定の範囲である。しかも首都直下を考えれば基金をゼロにすることは極めて不安である。
 「入りを量りて出ずるを制す」というのは自治体であれ企業であれ家計であれ、人間の営みの基本である。しかし家計であれ企業であれ自治体であれ、「出ずるを制す」が難しい、というより誰だって「嫌」である。しかし財政問題は「好き嫌い」では解決しない。
 とは言え、不満の蓄積は無視できないし、些細なことで爆発するから、「出ずるを制す」は机上の合理性だけでは失敗する。昔の「メザシの土光さん」ではないが、まず当事者からエリをたださなければ進まないし進められない。「なんで私たちだけが我慢するんだ」という感情こそが単純なことだが、実は気を配らなければならないことである。公務員は「雨ニモマケズ」ではないが「あらゆることを自分を勘定に入れずに、よく見聞きし、分かり、そして忘れず」という姿勢があってこそ進むものも進むのである。