2011/08/24

豆を煮るに豆がらを以てす?

 面白い本である。かねてより、小沢一郎氏が、相手の好き嫌いによって電話に出ない、連絡が突然とれなくなる、といった新聞での人物譚(その多くが離れて行った人たちの証言だが)が気になっていた。いい年した大人が、それも社会的な地位がある人物が、そんな子どもじみたことを、どうしてするのか、また出来るのか不思議でならなかった。この本を読むと、その疑問がきれいに氷解する。(長年のナゾが解けてトクした気分。さらにいわゆる“忖度政局”のカラクリもおよそ察しがつく)
 また、テレビなどでなぜ居酒屋から出てくるシーンが多いのかという、一見どうでもいいようなことが、実は小沢氏にとって大切な意味が隠されていたりして、ちょっと意外。(庶民派を演じているというレベルではない!)
 かつてブログでも書いたように、小沢一郎氏の解決スタイルは「恫喝と懐柔」が基軸になっている。しかしこの本を読むと、どうして「恫喝と懐柔」になってしまうのか、その“仕組み”がうまく描けている。
 それにしてもこの本の元ネタはアエラの特集記事であり、出版社は朝日新聞出版。最後の部分で著者にこのように書かせたのはどうみても出版社サイドの意図が働いていると思う(笑)「非常時のいま、日本のリーダーにふさわしいのは、官僚を動かせないがカネに清い菅直人か、カネに汚いが官僚を動かせる小沢一郎か。それともまったく別のタイプか。」
 それにしても、この帯の高さはすごい。こんな帯は見た事がない。まさに朝日の「悪意」とでも言いたい本である。