公務員給与はどうやって決まるのか。“給与条例主義”が原則であり、給与は条例に明記され、改正する場合は議会の議決が必要。
しかし議会で公務員給与が様々な現状に則した審議がなされるかと言えば、実際のところそれはない。23区統一の人事委員会が23区同一の給与の改定案(勧告)を示し、議会はその改定案を尊重するのが一般的だ。
人事委員会を尊重するのは公務員が労働者としての権利を封じられていることに起因する。故に人事委員会は労働者に不利にならないように客観的に決めることになっている。しかしどうだろう、人事委員会というのは役人の集団であり、つまり役所である。
さらに問題は23区で同じ給与ということである。A区は財政悪化で大変な状況、B区は健全財政という違いがあるなかで、人件費に影響が及ばないというのはおかしい。
今回、世田谷区で出される給与改正案は職員1人当たり月千円のカットである。年収にして1万円ちょっとの減収。
それでいて世田谷区は87億円の税収不足を表明している。職員数はざっと5千人、1人当たりの人件費を今回の改正案のように1万円ちょっと削っても全体として6千万円程度である。87億円の不足分には到底及ばない。
もちろん人件費で不足分を全部埋めろというつもりはないが、その差はあまりにも現実離れしている。
例えば政府や自公(上記記事)の言う7.8 %のカットなら、世田谷区の場合、20億円前後になる。財政緊急時である。人事委員会の勧告は尊重しても、世田谷区としてはさらなる緊急時対応が求められるべきである。