朝日が21日、世田谷区長選を詳しく報じている。
「(自民主導の)前区政に戻したら世田谷区は死に体になる」。と保坂氏の支援者が集会で声を上げたという。
この支援者は完全に誤解しているのだろう。
保坂区政の4年間は前区政をそのまま継承している。故に保坂予算は4回とも自民は賛成している。
この保坂区政の4年間を表す重要な記事は以下の部分。
「保坂氏は社民衆院議員時代には「批判勢力」の印象が強い。前回の選挙戦では「大型開発からの転換」を強調したが、区長就任後はそうした主張は影を潜めた。野党が過半数を占める区議会と対立を避け、手堅い区政運営をしてきた。区が提案した議案が一度も否決されなかったことが裏付ける」
実は上記の記事の表現は微妙に異なるが、保坂展人氏の本質をついている。要は当選するまでに言っていたことと、当選してからやっていることは全く異なるということである。
そのことはあとに続く「前回擁立に動いた支援者の一部からは「約束を果たしていない」との批判もある」という一文につながる。
さらには記者氏は勘違いしている部分もある。“野党が過半数を占める区議会”という表現。
国会に似せて表現した方が読者にわかりやすいのかも知れないが、世田谷区議会は単純に与党だとか野党だとか区分けできない。
従ってその記事の後段の「区議会との対立を避け、手堅い区政運営をしてきた。」という表現は実態に即していない。
そもそも「区議会との対立」とは別段つかみ合いのケンカをするわけではないのだから、「区議会との対話」「区議会への提案」「区議会での説明」「区議会での説得」という表現こそが適切だろう。
とすれば、この記事の本質は「区議会との対話を避け、区議会への提案を避け、区議会での説明を避け、区議会での説得をさけても通りそうな議案だけを出して、手堅い区政運営をしてきた。(だから)区が提案した議案が一度も否決されなかった」ということになるのである。
つまり、区長としての信念のある仕事はしていない、ということなのである。
さらに記事では「保坂氏は「少数与党の中、自分の主張だけではものごとは進まない。みなさんの意見を広く聞きながら進めている」と話す。」
ここにも保坂区長の、自らを“少数与党”という虚構の立場に置き、自分の責任ではない、という言い訳をしているに過ぎない。
この4年間、自分の主張に基づく議案を一本でも出されただろうか?その議案のための対話を議会としようとしたであろうか?説明をしようとしたであろうか?
かつて小泉総理が郵政民営化の熱弁を振るい、あらゆる障害を乗り越えて法案を通した事実だってある。そこまで求めるのは無理としても、そもそも保坂氏の自分の主張が何であったのかさえ、不明である。(みんなが賛成するものなら、やるという受け身型)
それにしても自民側も「明確な失政はなかった」と言っているぐらいだから、何のために対立候補を出したのやら。
失政はあっただろう、保育待機児増大の問題、災害対策の中枢機能を担う本庁舎の非常用電源をたった3時間で切れてしまう大問題に真剣に取り組まなかったこと・・・。新人候補については実績そのものがないのでわからない。