7月31日の日経新聞の記事に驚いた。まるでB級映画のあらすじが書かれているようだ。
「現在の妻と結婚するため、前妻を交通事故に見せかけて殺したとも伝えられ」
「警察機構や武装警察の指揮権を持ち『軍以外のあらゆる強制執行力を握る男』と恐れられた」
「周氏は薄氏と組んであわよくば習氏の国家主席就任を阻止し、自らもキングメーカーとして君臨することまで考えてた節がある」
「周氏は指揮下にある公安権力を駆使して胡氏や習氏らの通信を盗聴し、弱みを握って取引材料にしようとしていた」
「『周氏が薄氏と諮って軍事クーデターを企てた』『周氏は少なくとも2回、習氏の暗殺を謀った』。そのような噂を少なからぬ党員が信じている。」
「事件の公表まで時間が掛かったのは、周氏追及に慎重姿勢を示す党長老らとの意見の相違がなかなか埋まらなかったからだ。その間、習氏は周氏らの汚職を示唆する情報を『出所不明の噂』として流し続けた。」
これが中国の最高指導部の姿として日経が伝えている内容である。
さらに、8月1日の日経では、腐敗摘発が特定の派閥に偏っていて、「腐敗があっても習氏の基盤である太子党には手を出さないのか。党内では不満がくすぶる。」とある。
そして何よりも、摘発で1兆5千億円相当の財産が押収されたこと。
経済開放政策で「世界の工場」となり、じゃんじゃん儲かる国になったものの政権トップがこれでは、この国は大丈夫なのだろうか。
しかも貧富の差は縮まらない。一握りの者が政治権力で富を独占する構造は、近代以前ならまだしも現在では犯罪である。それでも働いても働いても稼げない時代から、働けば働くなりに稼げる時代への転換に国民は酔っているのだろうか。
重要なことは「情報公開」である。「情報公開」グラスノスチによってソ連はその政治体制が崩壊した。「情報公開」に耐えられる国家でなければ民主的とはいえない。