日経新聞朝刊の「黒書院の六兵衛」(作・浅田二郎 画・宇野信哉)が実に面白い。連載は昨年5月から始まり、年をまたいで今年は227回から続いている。物語は江戸城明け渡しを軸に大河ミステリーのような謎が謎を呼ぶ仕立てになっている。
最初に興味を覚えたのは宇野信哉氏の挿絵。上掲はまさにその象徴とも言える、第4回のもの。江戸城の入り口(外桜田門)で城引き取りの官軍(先遣隊)を出迎える旧幕臣の姿である。何と西洋式の蝙蝠傘を差している。本文では「旧幕臣の間には、この黒木綿の西洋傘が流行している。」とあるが、こんな光景になるとは。
番傘のような二等辺三角形ではなく、こんもり円い傘を差して居並ぶ旧幕臣の姿は「ご時世」とはいえ複雑な心境をまさに画に語らせている。(単行本になったらこれらの画はなくなってしまうのだろうか?もったいない)
ストーリーもさることながら、当時の社会常識も織り込まれ、ちょっとしたトリビア的要素も。例えば47回で、旗本の家では「お殿様、奥様」、御家人の家では「旦那様、御新造様」と呼ぶことになっていたとか。・・・とすれば奥様が「ウチの旦那が」と呼び捨てにするのは歴史的には正しいのか?とも。
さて今年の日本は政権はかわったものの、前政権の3年を超える修復以上の域はまだ出ていない。参院選までが事実上の選挙期間ということなのだろう。
世田谷区政的には、あちこち区民のみなさんの声を聞けば、世代を超えて、役人の天下りということに厳しいようだ。そりゃそうだ、若者は正社員には簡単になれないし、団塊世代以下はリストラや無事定年を迎えてもその先どうするのか何の保証のない当節だ。