2018/06/28

失敗の科学


この本は、まさに失敗の教訓が満載だ。その一つがマージナルゲイン(小さな改善)というアプローチだが。

例えば、貧困のテーマとしてアフリカの問題がある。(著者は英国人)具体的には、アフリカの貧困地域に『教科書を無料配布するプログラム』は学力向上に効果があるのかどうか検証した話が出てくる。過去の観測データでは、教科書を無料配布した学校には、テスト成績向上の傾向が見られた。

ただし、今回の検証は、同じ地域での使用前・使用後というものではなく、アフリカの学校を2つのグループにランダムに分けて、一方のグループには無料配布の教科書を配り、もう一方には配らなかった。

その結果は、成績の差はなかった、つまり無料配布の効果は見られなかった。

なぜか?

それは教科書が英語で書かれていたからで、貧しい子どもたちの大半はアフリカの首都圏から遠い地域に住んでいたために、英語は第三言語で、そもそも内容を理解しづらかったという、オチ?だった。

しかし、こういう検証がなければ、読まれない教科書を永遠に無料配布していた可能性があるので、貴重である。

世田谷区もこれだけ広くて、人口も多いので、グループ分けの検証を積極的にやって行くべきである。