2018/06/26

映画「万引き家族」を素人が語ってみる


外国映画祭で最高賞をとったこともあり、事前情報(内容)をある程度知らされていたが、上映2時間は、あっと云う間に過ぎた。

ただし、児童虐待の描き方は、公開直前に報道された「目黒5歳女児虐待死」事件には、かなわない。

以下、素人が感想をつぶやいてみる。

きっかけは、作品がパルムドールをとったから。たぶん、すごいなぁといった角度から簡単に乗せられた口。

しかし「万引き家族」という邦題から、挑戦的な仕掛けが内包されている。

「万引き家族」の英語表記はShopliftersフランス(審査員側)では家族という感覚がどうあるのか、不明。

映画評では、ことさら「擬似家族」とか反射ワードが放たれていたが、それって監督に乗せられている感じ。

「万引き家族」には「暴力」が見えない。

映画の面白さは、ありえないことを前提なしで、やってのけることに、ある。(たぶん「虚構」という部分だ)

「万引き家族」の「虚構」はどこに隠されているのか。

「暴力の排除」であろう。少なくとも「万引き家族」の内部での暴力は、その気配さえ微塵もない。(1回しか観ていないので記憶は定かではないが)

「貧困」と「触法」と「違法」に囲まれて、「小さな良心」が「大人の都合」をぶっ壊せない。

どう見ても、リリー・フランキーなんて、(これはあくまでも役柄のこと!)子どもに暴力で悪事を教えている役だろう。

リリー・フランキー、安藤サクラ、樹木希林、プラス子役とくれば、役者の実力で、ほぼ成立する映画だ。特に、安藤サクラは「百円の恋」での圧倒的な演技が忘れられない、を超えてありそうな主婦にうまく着地している。(敬称略)

最近の映画は、「暴力」を「余命何日」や「不治の病」に置き換えて、巧妙に前提から外している作品が少なくない。まあ、対局に「アウトレイジ」という系列もあるが。

「万引き家族」は天使たちの映画なのかもしれない。