2017/05/17

新庁舎の目的は災害対策

5月17日の朝日新聞。新庁舎建設がいよいよ始まるという記事。(着工はまだまだ先のことですが)9月には公募の設計案のプレゼンテーションや区民意見聴取が行われる。
今更のごとく、前川建築のことを取り上げているが、残せるものなら残したい、そういう考えの人が大半だろうと思う。(いっそのことメルカリにでも出してどこかで大切に保存してくれたと思うくらい)
しかし今の庁舎では首都直下等の災害対策機能が果たせないという結論がまず最初にある。この点については異論はないと思う。
実は残す方法は、過去を振り返ればいくつもあった。例えば本庁舎の場所を現在地から移す、つまり別の場所に本庁舎を建設すれば、前川建築はまるまる残せただろう。ただし耐震性の問題から使用は限られただろうが。
本庁舎移転構想は、前川建築とは関係なく私たちの会派は従前から主張していた。世田谷線からは近いが、交通至便とはいいがたい場所だからである。
保坂区政になってからも適地はいくつかあった、にもかかわらず同じ場所に新庁舎を建設すると決定したのは、誰あろう保坂区長自身である。
さらに仮庁舎は作らない方針。新聞では触れられていないが、現在の前川建築の庁舎から職員が他の仮庁舎に移って、スッカラカンになって壊すということではない。
居ながら働きながら建築するという、スリリングな建て方である。結局、このようなプロセスになり、新庁舎のかたちは相当厳しい建築条件となっている。
これらは議会で昨年まで何度も何度も議論しているので会議録検索システムで読んでいただければと思う。
簡単に言えば、自分の判断ミスで物理的に前川建築を残せなくしたにもかかわらず、前川建築を残そうという姿勢だけをアピールする保坂区長にうんざり、というのが実感である。
またこうやって、新庁舎建設を朝日新聞が取り上げてくれるのは、ありがたいことである。ただし、仮庁舎は作れないとか、耐震強度不足とは災害時に庁舎が機能しないとか、世田谷区の人口は90万人近くで、役所が機能しないと災害後の区民生活レベルが最悪になることも踏み込んで欲しかったな、と。
また建設費410億円は確かにバカ高いと率直に感じる。一方で保育待機児ゼロをめざす平成31年には世田谷区における保育所運営費は440億円になるという。これは1年間である。質のことなる比較ではあるが、世田谷区の台所の規模感からすれば一番近い金額なので参考までに。それにしても大変な金額に変わりない。
こうならないために・・・。