2016/08/18

脱原発区長はなぜ得票率67パーセントで再選されたのか?

妙なツクリの本が発売された。

もちろん重箱の隅をつつく程度の話だが、チリも積もれば山となるの例えのごとく、夥しい錯覚の連射の中に保坂区長の虚妄が隠されているから書かざるを得ない。

この本の表題からすれば、観察対象は保坂区長(候補)の選挙戦のはずと買い手は思うだろう。簡単に言えば、保坂候補はなぜ高得票率で当選できたのかという謎解き、分析本だろうと。


当然、分析者は第三者というのが買い手の前提であろう。

しかしである。妙なツクリというのは、著者が保坂展人氏本人であり、分析も本人が行っている点にある。

要は自画自賛本の典型ということである。

ただし、実際にはロッキング・オンの渋谷陽一氏によるインタビューという内容になっている。

まあ何でもありの保坂氏のことだから今更、驚くことでもないが、この手の本のツクリとすれば、インタビュアー渋谷陽一という記述が表題にあるはずであり、まさに得票率67パーセントで当選した分析は渋谷陽一氏が行ってこそ、客観性が形式的にこそ付与されるものだろう。さらには相手陣営への取材がなければ本来の客観性は保てないはずである。

しかしながら、この本では一方的に保坂氏がインタビューに答え、自分で分析し、結論づけているのである。であるならば「私はこうやって勝った」というのが素直な表題のつけ方であろう。

客観性を装いつつ、一方的な価値観にすでに踏み込んでいる、というのは保坂氏の得意技(難点?)である。(庁舎問題における迷走などはその典型で、区民の代表的な声に耳を傾けることなく、勝ってに独走し、自ら隘路に陥るという時間の浪費の繰り返し)

最後に、この本を手にする前提として、現職区長は選挙に強いという事実を知らねばならない。

区の催事から広報から入学式から卒業式からその他の印刷物、お祭り、集会等で現職区長自身も名前も露出し放題である。それが4年も続けば知名度は飛躍的に高まる。それは全国の自治体でも同様である。

著者の保坂氏は得票率67パーセントを、こんなにも高い得票率と確信しているようだが、果たしてそうなのだろうか?

昨年の4月の同日に行われた区長選挙は11区ある。現職区長は全員当選している。新人が当選したのは現職が引退した区である。



実は保坂氏は現職区長の割には得票率が低いのである。得票率は立候補者数によっても左右されるが、それを割引けば保坂氏の得票率は区部の中でも低い部類なのである。

得票率だけに注目すれば、この本の表題は他区と比べて「現職区長なのになぜ低得票率67パーセントで再選されたのか?」ということにならないだろうか。

モノの見方は多様かつ多面的である。すでに昨年の対立候補の名前も顔も記憶にない区民も少なくないと思うが、同様に保坂区長の実績を言える区民もどれだけいるのだろうか。

知名度の差を、支持率の差のようにすり替える魂胆があるとすれば、それは違うなぁ、というのが率直な感想である。まあ、ミニワールドの権力者である保坂氏らしいが・・・。

●ちなみに、以下は読売新聞のネットから