2016/04/01

議会の知らない所で和解案が進行していた


昨日は東京新聞も伝えていたが、記事の背景が、わかってきた。

要するに「再開発事業差し止め訴訟」で裁判所は昨秋、和解条件を原告側に求め、それに従って原告側は以下の通りの和解案を昨年末に出してきたようである。

1、小田急線上部利用については「みどりの基軸」の観点から公共的利用が図れるよう、計画を見直し、国、都は最大限これに協力する。

2、補助54号線及び区画街路10号線については、二期及び、三期工区を優先整備路線としない。二期及び三期工区の事業化について都市計画の変更を行う。第1期工区については道路専用許可特殊制度を利用して、「みどりの基軸」として小田急線上部と有機的につながらう歩行者中心の街作りを進める。

3、下北沢の建物の高さ制限60メートル、45メートルを中低層並みに見直す。

これに対し、世田谷区が裁判所で3月30日に述べたのは以下の通り。


 原告らが、平成27年12月28日に、「下北沢再開発の『見直し』意見書」(福川意見書)を踏まえて、「原告らの和解に対するスタンス(和解案の概要)」を提案し、裁判所からは、本件紛争を円満に解決し、下北沢における道路整備及び街づくりに関するさまざまな意見の対立を超えて、自治の担い手である住民と行政の協働を形成することにより、下北沢の魅力を更に発展させていくことが大切であるとの認識の下に、平成28年3月16日付けで早期解決の勧告がなされたことを受けて、参加人世田谷区は、次のとおり、意思を表明する。

1 参加人世田谷区は、「防災とみどりの基軸づくり」をコンセプトとして、東京都及び小田急電鉄と協議、調整を経て、さらに区民の皆様からのご意見を受けまとめた「世田谷区小田急線(代々木上原駅~梅ヶ丘駅間)上部利用計画」(以下「小田急線上部利用計画」という。)を基に、今後は、事業完了まで、小田急電鉄と調整しつつ、各事業者の設置する施設等が整合性をもって配置されることにより、駅を中心ににぎわいのある街づくりを目指し、区民等の憩いの公共的な空間となるよう整備を進めるものとする。

2 参加人世田谷区は、平成18年10月18日付けの事業認可処分に係る補助54号線(第Ⅰ期区間)及び区画街路10号線のうち、区画街路10号線については、「防災とみどりの基軸づくり」を基本コンセプトとする小田急線上部利用計画を基に、交通結節機能のほか、防災や環境も考慮した生活拠点にふさわしい機能を確保するとともに、補助54号線(第Ⅰ期区間)については、都市計画道路としての機能(交通ネットワーク機能、防災・災害対策機能、街の賑わいづくりの創出)を確保しつつ、周辺と調和した連続性のある街づくりを進めるものとする。また、これら都市計画道路における「道路占用許可の特例制度」については、既に検討に着手しており、「道路区間を活用したまちのにぎわい創出」を目指して、歩行者に配慮した活気ある街づくりを進めるものとする。

3 参加人世田谷区は、世田谷区の都市計画に関する基本的な方針である「都市整備方針」において、“広域生活・文化拠点”として位置付けられている下北沢が、「生活と文化を育み、地域の“心”となる安全で住みやすいにぎわいの街」となるよう形成に努めるものとする。また、下北沢駅周辺においては、「下北沢駅周辺地区地区計画」に基づき適正に街づくりを進めるとともに、その街づくりの過程において、区民等の意見を幅広く頂きながら、下北沢の良好な街並みの維持・発展について必要な対応をするものとする。


以上

実は、予算員会で議論が集中したのは、なぜ二期、三期を優先整備路線から外したのか、とうことだった。

この裁判の流れから見ると、和解の条件が二期、三期を外すことだっということがわかる。(そういうことだったのか)

ただし、今回の区の意思表明においては二期、三期については一言も触れていない。(権限ないし)

原告は訴訟を取り下げたが、取り下げの同意については国、都が持ち帰り、検討するということらしい。(なお、2週間ルールで放っておくと同意したことになる)

議会・予算委員会での他会派の質疑を聞いた限りでは、二期、三期を優先整備路線から外しても、現状の進捗状況のベクトルは何も変わらない、と保坂区長は述べていたように記憶している。