2016/04/07

代表質問の余話

2月の代表質問で、保坂区長の無責任なツイッター発言を取り上げ、そのことが世田谷区の保育園待機児問題をこじらせている、と追及した。

保坂区長は今から4年前に、「子どもの遊ぶ声がうるさい」というクレームを紹介し、盛んに「子どもの声は騒音か?」という発信をツイッターで続けた。

そのことが、これまで、いわゆる“受忍限度の範囲内”と思っていた人たちに、「子どもの遊ぶ声がうるさい」と主張していいのだ、という風潮を煽ってしまっているのではないか、そのことを追及した。

これに対し、保坂区長は、ドイツの裁判の事例を出し答弁をそらし、ツイッターを見て広めたのはマスコミだと責任転嫁をし、むしろ社会問題化して都の条例改正(子どもの声は騒音ではないという)に至ったではないかと、“成果もどき”をいつものように答弁した。

ドイツがどうしようが、都条例が改正されようが、世田谷区の保育園待機児問題は改善されていない。

マスコミが勝手に取り上げたのではなく、マスコミが取り上げることは何でも(区長としての責任を放棄してまで)ツイッターで発信する、その姿勢を指摘した。

実際に、見たこともないことを、あたかも見てきたようにツイッターで発信しマスコミを煽っていたことも指摘した。いわゆる「比喩的表現」事件のことだが。

区長の仕事は、まず「問題提起すること」ではなく、「問題を解決すること」に主眼がある。(ここが区長就任以来の保坂氏の認識の心得違いがある。すなわち、国会議員のつもりで区長をやっている、という)

私が求めた答弁は、「保育園で子どもの声がうるさいというクレームがあるという問題提起は逆効果だったかも知れない。少子化で、子どもの声を聞かずに生活する人が増えたため、そんな子どもがうるさいのなら保育園が近くにできては困る、と先入観を与えることになってしまった」というもので、

だから、今後は区長としての立場、保育園待機児問題を解消する責任から、発言には注意する、という内容だった。

なぜ、そのような“答弁”を期待したかと言えば、同じことをアエラ(2014年11月17日号)で保坂区長自身が語っているからである。
http://dot.asahi.com/aera/2014111900100.htmlhttp://dot.asahi.com/aera/2014111900100.html




2016/04/04

議会の知らない所で(すなわち区民の知らない所で)3


3月の議会では最終日、保坂区長に対し、その言動を改めよ、という決議が可決された。(上記事)まあ、戒告処分のようなものだが、議会が区長に対してするということはよほどのことである。要は区長としての言動が責任ある者としてふさわしくない、隠密行動が多すぎるということになるだろう。

が、また議会が閉会した翌日の記事がこれである。(再掲)


繰り返しになるが、3月議会(予算委員会)での最大の質問のひとつが補助54号線問題であり、なぜこれまで優先整備路線となっている2期工区と3期工区を、今後10年間の計画から外したのか?ということである。


保坂区長は明確な理由を答弁をしなかった。(これも理解できない言動の一つだったが・・・)


実は「再開発事業差し止め訴訟」の中で、原告は和解案として2期と3期を外せと言っていたのだ。結果として事実上、保坂区長が2期と3期を外し、それをもって訴えは取り下げられた、とみるのが自然な流れだろう。(権限は複雑で被告は都と国であり、世田谷区は参加人という立場。優先整備路線を発表するのは都だが、申請するのは区長)



もちろん、区民と区が争うことは好ましい状態ではない。訴訟がなくなることは良いことだ。

が、問題は、訴訟をなくすために2期、3期を外すことの妥当性である。

上図を見ても、2期、3期を外せば、事業計画全体の“ゆらぎ”は生じるだろう。1期だけでは、環状線につながらない、道路広場になってしまう。そういう考え方もあるだろう。

しかし90万都市として、木造密集地域をかかえる場所として、首都直下に耐えられるのだろうか、とも考える。道路は世田谷区だけのものではないからである。

さらに、問題は世田谷区のスタンス(これまで補助54号線に関して公表してきたこと)が今回の訴訟取り下げで変わったか、どうかである。

保坂区長は2期、3期を外したのは1期に集中するため、と理由にならないことを明言している。2期、3期を外さなくても1期には集中できるだろう。仮に本人にすれば決意の表れということであれば、事業全体は進むことになり、スタンスは変わらないことになる。

しかし、実際には、議会の知らないところで、言っていることとやっていることが違わないか、ということである。

今回の予算質疑では、私は、もう一つの大問題である高額本庁舎問題で手一杯で下北沢問題には触れられなかった。そういえば都政新報に、ちょっとイジられていた。(もちろん1千万円程度という認識は間違っているが!)

議会の知らない所で2



先日来の下北沢を巡る訴訟は原告が取り下げ、上掲記事の通り東京都も同意し、終了となった。

これに関し、都知事は次のようなコメントを発表した。青字部分。

補助54号線は、下北沢周辺はもとより補助26号線や環状7号線につながる道路ネットワークを形成し、交通の円滑化や防災性の向上等を図るために必要不可欠な道路です。事業中の1期区間に集中するため、2期・3期区間は第四次事業化計画の優先整備路線としていませんが、施工者である世田谷区が、事業中の1期区間の整備を推進するとともに、その進捗状況を踏まえ、隣接する2期・3期の区間の事業化に向けた準備も進めていくこととしています。


これを見る限り、訴訟の前後で何が変わったかといえば、補助54号線の2期・3期区間を第四次事業化計画の優先整備路線としなかったことだろう。ただし事業化に向けた準備は進めるとも。

2016/04/01

議会の知らない所で和解案が進行していた


昨日は東京新聞も伝えていたが、記事の背景が、わかってきた。

要するに「再開発事業差し止め訴訟」で裁判所は昨秋、和解条件を原告側に求め、それに従って原告側は以下の通りの和解案を昨年末に出してきたようである。

1、小田急線上部利用については「みどりの基軸」の観点から公共的利用が図れるよう、計画を見直し、国、都は最大限これに協力する。

2、補助54号線及び区画街路10号線については、二期及び、三期工区を優先整備路線としない。二期及び三期工区の事業化について都市計画の変更を行う。第1期工区については道路専用許可特殊制度を利用して、「みどりの基軸」として小田急線上部と有機的につながらう歩行者中心の街作りを進める。

3、下北沢の建物の高さ制限60メートル、45メートルを中低層並みに見直す。

これに対し、世田谷区が裁判所で3月30日に述べたのは以下の通り。


 原告らが、平成27年12月28日に、「下北沢再開発の『見直し』意見書」(福川意見書)を踏まえて、「原告らの和解に対するスタンス(和解案の概要)」を提案し、裁判所からは、本件紛争を円満に解決し、下北沢における道路整備及び街づくりに関するさまざまな意見の対立を超えて、自治の担い手である住民と行政の協働を形成することにより、下北沢の魅力を更に発展させていくことが大切であるとの認識の下に、平成28年3月16日付けで早期解決の勧告がなされたことを受けて、参加人世田谷区は、次のとおり、意思を表明する。

1 参加人世田谷区は、「防災とみどりの基軸づくり」をコンセプトとして、東京都及び小田急電鉄と協議、調整を経て、さらに区民の皆様からのご意見を受けまとめた「世田谷区小田急線(代々木上原駅~梅ヶ丘駅間)上部利用計画」(以下「小田急線上部利用計画」という。)を基に、今後は、事業完了まで、小田急電鉄と調整しつつ、各事業者の設置する施設等が整合性をもって配置されることにより、駅を中心ににぎわいのある街づくりを目指し、区民等の憩いの公共的な空間となるよう整備を進めるものとする。

2 参加人世田谷区は、平成18年10月18日付けの事業認可処分に係る補助54号線(第Ⅰ期区間)及び区画街路10号線のうち、区画街路10号線については、「防災とみどりの基軸づくり」を基本コンセプトとする小田急線上部利用計画を基に、交通結節機能のほか、防災や環境も考慮した生活拠点にふさわしい機能を確保するとともに、補助54号線(第Ⅰ期区間)については、都市計画道路としての機能(交通ネットワーク機能、防災・災害対策機能、街の賑わいづくりの創出)を確保しつつ、周辺と調和した連続性のある街づくりを進めるものとする。また、これら都市計画道路における「道路占用許可の特例制度」については、既に検討に着手しており、「道路区間を活用したまちのにぎわい創出」を目指して、歩行者に配慮した活気ある街づくりを進めるものとする。

3 参加人世田谷区は、世田谷区の都市計画に関する基本的な方針である「都市整備方針」において、“広域生活・文化拠点”として位置付けられている下北沢が、「生活と文化を育み、地域の“心”となる安全で住みやすいにぎわいの街」となるよう形成に努めるものとする。また、下北沢駅周辺においては、「下北沢駅周辺地区地区計画」に基づき適正に街づくりを進めるとともに、その街づくりの過程において、区民等の意見を幅広く頂きながら、下北沢の良好な街並みの維持・発展について必要な対応をするものとする。


以上

実は、予算員会で議論が集中したのは、なぜ二期、三期を優先整備路線から外したのか、とうことだった。

この裁判の流れから見ると、和解の条件が二期、三期を外すことだっということがわかる。(そういうことだったのか)

ただし、今回の区の意思表明においては二期、三期については一言も触れていない。(権限ないし)

原告は訴訟を取り下げたが、取り下げの同意については国、都が持ち帰り、検討するということらしい。(なお、2週間ルールで放っておくと同意したことになる)

議会・予算委員会での他会派の質疑を聞いた限りでは、二期、三期を優先整備路線から外しても、現状の進捗状況のベクトルは何も変わらない、と保坂区長は述べていたように記憶している。