2014/07/27

世田谷区もやられた?生活保護サギ?

 毎日新聞が、無職の女(48)が三鷹市と相模原市と川崎市の三つの自治体から同じ時期に生活保護を受けていた疑いがあると報じている。さらには、この無職の女(48)は世田谷区からも三鷹市と合わせて受給していた疑いが浮上。

 記事によると「生活保護の受給状況は個人情報保護の観点から自治体間で共有されていない。無職女が生活保護を三重に受給できた背景に、重複受給を自治体が調査できない現行制度の不備があるといえる」らしい。また被害に遭った自治体の担当者は「住民票を移していない人に前の居住地を意図的に隠されたら、お手上げに近い」と口をそろえる、とも。

 世田谷区の生活保護費は200億円を超えている。無職の女(48)は複数の自治体からの受給は認めているが、経緯や理由については曖昧な供述をしているということからして、考えぬかれた犯罪の匂いもする。多額の税金が投入される制度に不備が存在するとは驚き。問題が明らかになった。

2014/07/25

がやがや館のレストランも

 池尻にある区立レストラン「がやがや館」は今年度は5千万円の赤字に抑えるとのこと。昨年度は1億円を超える赤字を出し、世田谷区の資産をドブに捨てた。

 7月12日の毎日新聞。「都心にアスリート食堂」とある。今どき外食業界、生半可な企画(コンセプト)で苦労するなか「疲労回復に、メタボ対策に」という主張のレストランが出現。

 実はこれ「がやがや館」のレストランの当初のコンセプト(企画)だったはず。

 おいしいレストランは、あまたある。そんな土俵で区立レストランが競争しても、赤字の山を築くだけ。

 区は本来の「健康増進」及び「生涯現役」を具現化する、ある意味、民間は手を出さない、かつ誰にとっても必要な「食習慣」につながるレストランを考えるべき。

 中高年にブームの(育ち盛りの年齢ではない、育ち盛りは逆にしてはいけない!が)“糖質制限”に着目することを6月の区議会本会議で提案している。
 上記は7月19日発行の「せたがや区議会だより」の私たちの会派の田中優子議員の代表質問の部分。

 民間(有名シェフ)はやらない料理(おしくはないし安くない)、だけど中年以降の「生涯現役」につながる食習慣の情報は必要不可欠ではなかろうか?

2014/07/21

長崎市から見える世田谷区の無茶ぶり

 7月15日、会派で長崎市を視察した模様が、長崎市議会のフェイスブックに掲載。長崎市は庁舎問題が解決に向かっている。果たして世田谷区はどうなっているのか。
 世田谷区では保坂区長が今年3月、10年後をメドに、現在の場所に、最低でも4万5千㎡の新庁舎を作ることを決定。(世田谷区本庁舎等整備方針)現在の本庁舎面積は2万8千㎡。
 現在の区役所は上の通り。世田谷地域に住んでいる区民をのぞけば、あまり知られていないのではなかろうか。実は上は第一庁舎であり、この他にも第二庁舎、第三庁舎、区民会館もあって、言ってみれば区役所は庁舎群から成っている。
 上図の第一庁舎(築54年)が区長室や総務、企画、都市整備系の部署等があり、第二庁舎(築45年)には福祉系部署、教育委員会そして区議会がある。そして第三庁舎(築22年)には世田谷総合支所と災害対策本部がある。また区民会館(築57年)には選挙管理委員会や情報公開窓口等がある。

 さて、区役所(庁舎群)の敷地は赤線の部分。ここにどうやって新庁舎を作るのか?近郊に仮庁舎を作る土地はない。(実際は中学校跡地等があったのだが保坂区長の決断が散漫で他の利用用途が決定。)敷地内に仮庁舎を作るとしても中庭は下が地下倉庫となって大型車両も駐車できないほど軟弱な地盤。駐車場も代替の土地がない。

 そもそも仮庁舎を建設するという手法は財政負担増から採用されない。通常は適切な土地に移転で新庁舎を建設させるのがよくある手法。しかし保坂区長は移転はしないと自ら決定してしまった。ではこの敷地で仮庁舎も作らずどうやって新庁舎を作るのか?

 リーマン・ショック前に想定した新庁舎建設手順では(移転しない・仮庁舎は作らないという条件で)休館が可能な区民会館を取り壊し、そこに新庁舎を作り、そこに第一庁舎の部署を移転、次に空っぽになった第一庁舎を取り壊し、そこに新庁舎を増設して第二庁舎の部署と移転・・・。というものだった。

 つまり、敷地内に“区民会館という区役所業務を行わないスペース”があったことが、同じ敷地内に新庁舎を作ることを可能にしている。(区民会館の中の選挙管理委員会と情報公開窓口は移転にはなるが)

 しかし問題は保坂区長の胸の内にあった。この区民会館は著名な建築家である前川國男氏の作なのである。(因みに実弟の前川春雄氏は元日銀総裁)保存運動である。運動メンバーには区長シンパも少なくない。区民会館だけでなく、第一庁舎、第二庁舎も前川建築である。前川建築のタッチは新宿の紀伊國屋書店のコンクリートむき出しのあの感じ、といえばわかるだろう。紀伊國屋書店は戦後まもなく作られた木造の店舗も前川建築。現在の鉄筋コンクリートの紀伊國屋書店は二代目の前川建築の店舗。

 さて、今回の長崎市の本庁舎も築55年、しかもこれまで、耐震補強なしのツワモノ庁舎。(当地では地震がほとんど無いとか。IS値0.3〜)

 長崎市の場合、適切な広さの土地がないことから、近隣の長崎市公会堂の土地に、公会堂を壊して新庁舎を建てる計画。長崎市では平成10年に公会堂よりキャパの大きい、長崎ブリックホールが完成している。とはいえ長崎市公会堂には歴史的な記憶が数多くあり、保存運動が起こる。ここが現在の世田谷区と同じ問題を背負っている。
 上図は長崎市の現庁舎(左2つ)と公会堂(一番右)の位置関係を示す。新庁舎の敷地は公会堂の隣の公園の敷地を含む。
 新庁舎の大きさは4万5千㎡〜5万㎡と世田谷区と同じ規模。
 なお現庁舎の跡地は公園にする予定とか。


 結論的に言えば、先月の6月議会で市長の強い信念のもと新庁舎の移転建設が決着した。まさにホットな視察だった。見事な対応の顛末を伺い、なるほどなーと得心が行った次第。

 一方、世田谷区の問題は保坂区長の胸の内にある。3月の予算委員会でも、6月議会でも私たちの会派の質問に保坂区長は区民会館の敷地を使って(つまり区民会館を取り壊して)新庁舎を考えるという表現を一切していない。むしろ区民会館を残してリノベーションの可能性に言及している。リノベーションとは庁舎の躯体を残して性能を向上させることである。簡単に言えば外装だけ維持して中身を新築にするという手法。が、そもそも1960年代の建築物にはリノベーションの余地はあまり多くない。そもそも、元がスケルトンインフィルでなければリノベーションの効果は上がらない。どう考えても財政上の負担が大きくなるだけである。保存という観点からもゴマカシに過ぎない。

 もちろん保坂区長の“意図”は保存派への配慮である。が、財政負担を最小限に抑え、現在地の敷地内で現在の大きさ2万8千㎡から最低でも4万5千㎡の新庁舎を作るには、しかも10年をメドに、ということからすれば残念ながら区民会館の敷地を活用しないと実現できない。

 保坂区長は自分で自分を追い詰めている様にしか見えない。新庁舎の位置を現庁舎の位置だけでなく他の場所も考えれば、区長の“思い”は満たされたかも知れない。他の場所での新庁舎を考えろ、と主張していたのは皮肉にも私たちの会派だけである。

 6月の代表質問(田中優子議員)で現在の区役所の敷地内で、新庁舎建設のパターンを考えてみると区側は答弁している。一方で仮庁舎の土地は見つからないと答弁していながら、仮庁舎の可能性も排除しないと訳のわからない答弁もしている。

 
 もう一度考えてみよう。財政負担を最小限に抑え、この敷地に新庁舎を建設するならば、区民会館の場所に作らざるをえない。
 しかし驚くべきことに、保坂区長は株式会社久米設計という会社に庁舎建設のパターン(シミュレーション)研究の業務委託の契約をし、それも10パターン以上を考えろ、という無茶ぶり。

 久米設計という会社は建築設計専業で日本ではベスト3に入るという大手。そこに委託した内容は

 ◉本庁舎の規模の試算

 ◉本庁舎等の配置の複数シミュレーション比較
 1 現敷地の法規制及び敷地条件等を確認し、シミュレーションの前提条件を整理すること。
 2 「本庁舎等の一部改築または全部改築」を含む本庁舎等配置の複数プラン10パターン以上の作成・比較を行うこと。
 3 上記の複数プランを10パターン程度に絞込み、解体・建設手順(仮設庁舎の有無を含む)の作成・比較及びコスト試算・比較を行うこと。

 ◉事業手法の比較・検討
 従来型やPFI型など、様々な手法を比較・検討するとともに、他自治体の最新事例などの調査・研究を行うこと。

 ◉設計・施工事業者選定手法の比較・検討
 従来方式や設計・施工一括方式など、様々な手法を比較・検討するとともに、他自治体の最新事例などの調査・研究を行うこと。

 ◉庁内検討委員会等の運営支援
 区が設置する庁舎計画推進委員会及び同検討部会、同ワーキング・グループの運営支援を行うこと(計10回程度開催)
 ・検討委員会への出席(区が設置する庁舎計画推進委員会検討部会に5回程度出席すること)
 ・資料作成及び課題整理(検討委員会等での検討にあたり、事務局である庁舎計画担当課の指示に基づく資料を作成し、会議に必要な数量を用意すること。また検討委員会等から出された課題について、必要な調査を行い、課題を整理すること)

 ◉シンポジウムの運営支援
 1 シンポジウムへの出席(1回)
 2 シンポジウム運営に必要な資料の作成
 3 その他、シンポジウム運営に関し必要な業務

 ◉基本構想(中間まとめ)案及び同概要版の作成

 と、以上が久米設計に委託した“お仕事”のだいたいの内容。おそらく、ここまで長ったらしいブログを読まれる方は多くないと思うが、区役所の仕事の一端が垣間見えるだろう。
 例えば、昨年のNHKの朝ドラ「ごちそうさん」で主人公の夫は昭和の始めの大阪市役所の建築課に務めていたという設定だった。そして自ら設計に従事していた。小学校とか地下鉄とか。しかし現在では、少なくとも世田谷区ではそんなことをする職員はいない。

 専門的なことは専門のシンクタンクに委託するというのが今どきの「お役所仕事」。実際、区役所の中でこの新庁舎建設の担当部署は「庁舎計画担当課」であるが、そこには一般事務職の課長、係長、主任主事、および事務職の嘱託員の4名体制で、建築技術職は一人もいない。

 それにしても、現在の敷地に10パターン以上の配置、建築手順を考えろ、というのには恐れいった。久米設計の内情は知らないが、業界では社会的信用も実力もあるという評判の大手である。どんな「答え」が出てくるのか楽しみである。

2014/07/19

世田谷区の保育サービス利用者の世帯収入1000万から1500万が最多

 平成25年11月から12月にかけて世田谷区は「保育サービス利用者アンケート」を実施した。調査対象は保育施設(認可保育所•保育室•認証保育所•認定こども園)は無作為抽出、保育ママ、家庭的保育事業は利用者全員で計3130家庭。調査方法は施設から対象者へ直接手渡しで、回答は郵送。有効回答数は2062家庭で66%の回答率。

 保育施設を申し込むにあたってどこから情報を得たか?
    区のホームページ      56.4%
    区の保育課         45.6%
    保育施設への訪問      42.3%
    友人知人          31.7%
    区の子ども家庭支援センター 22.3%
    保育施設のPR         13.8%

 現在通われている保育施設は希望していた保育施設か?
    希望していた保育施設である 76.7%
    希望していた保育施設でない 23.2%

 現在の保育施設に入るまで待機期間はあったか?
    ある            39.0%
    ない            60.7%

 上記で「ある」と答えた期間の対応は? 
    育児休業を延長した     28.3%
    認証保育所に預けた     24.2%
    認可外保育施設に預けた   18.0%
    父母のどちらかが面倒みた  16.3%
    保護者の親に預けた     12.7%
    保育室に預けた         9.9%
    一時保育施設に預けた      7.7%
    認可保育所に預けた       6.3%
    友人知人に預けた        3.6%
    保育ママに預けた        3.6%
    親族に預けた          2.7%
    仕事をやめた          2.7%
    家庭的保育事業に預けた     0.7%
    認定こども園に預けた      0.1%

 保護者の就労状況
             父親    母親
フルタイム        87.3%   51.7%
フルタイム(短縮制度利用)  0.6%   25.0%
パート            0.4%  12.1%
自営業          10.4%   6.9%

 世帯収入(保護者の収入合計)          

 200万円未満             3.5%   
 200万円以上 〜  400万円未満    9.8% 
 400万円以上 〜  600万円未満  16.3%   
 600万円以上 〜  800万円未満  19.8%   
 800万円以上 〜1000万円未満  17.6%   
 1000万円以上 〜1500万円未満  20.1%   
 1500万円以上 〜2000万円未満    8.0%   
 2000万円以上            3.2%  

 世帯収入が1000万円以上は31.3%である。父親のフルタイムが87%、母親のフルタイムは短縮制度利用中を入れれば76% 。

 因みに世田谷区の保育サービス施設を利用している子どもたちは1万3454人。区内の5歳以下の子どもたちの数は4万2700人で31.5%が保育サービス施設を利用している。
(平成26年4月1日現在)

 区立認可保育園  50園   5181人
 私立認可保育園  66園   5264人
 保育室      15施設    431人
 保育ママ     23施設      89人
 家庭的保育事業  14施設    107人
 認証保育所    69施設  2201人
 緊急対策保育事業   3施設    181人

 それでも4月1日現在で1109人の待機児というのが世田谷区の実情。

2014/07/11

狙われる危険

 地震、津波、噴火・・・。日本の原子力発電所はそのどれに対しても安全性が確保されていない。加えて、“武張った国”に変えようとするならば、“攻撃される”という決定的な危険が増える。自然災害には国民は一致団結する。しかしテロリストの出現には国民への監視と不信感しか生まれない。嫌な国の舵取りだ。

2014/07/06

社会保障の岩盤改革

 来年度から、いわゆる小規模認可保育園(定員6人から19人までの小規模保育)が誕生する。認可権は世田谷区。参入は自由であるべきで、参入後の運営チェックは厳しく、というのが基本ではなかろうか。しかし、区が考えている参入条件には「社会福祉法人・学校法人以外の者に対しては、経済的基礎、社会的信望、社会福祉事業の知識経験に関する要件を満たすことを求める」とあり参入障壁を設けている。(国の通達がこうなっているとか・・・)

 国の通達は日本全国の自治体に向けられている。その全国の自治体の中で世田谷区は保育待機児ワーストワンという状況にある。

 全国と同じでは、世田谷区の保育待機児問題は解決しない。しかも社会福祉法人・学校法人以外は参入障壁となる「経済的基礎」、「社会的信望」、「社会福祉事業に知識経験」の審査基準を世田谷区は定めていない。というより、「社会的信望」なんて、どのような尺度があるのだろうか。

 もはや、昭和20年代の制度設計(措置制度)を多く引きずる社会福祉法人の発想だけでは世田谷区の保育待機児解消はできないだろう。
 厚労省では社会福祉法人制度の見直しも考えている。「社会福祉法人の見直しについて」(平成26年6月16日)

 この日本で需要があるのに供給が何年も間に合わない、ということはあるだろうか。モノでもサービスでも溢れている。しかし社会福祉の分野では保育所も特養ホームも慢性的な不足状態である。その運営のほとんどが社会福祉法人。現状の社会福祉法人を取り巻く環境では、質や生産性の向上につながる改革はできない。それでいて社会福祉に投じられる国の税は莫大である。いずれその税も続かなくなる。

 来年度からの小規模保育を含む「子ども・子育て支援制度」という新たな制度は消費税10%を財源としている。それでも4000億円の財源不足で解決していない。さらにその消費税10%も決まった訳ではない。経済状況を見て判断すると政府は言っている。

 景気が悪くて消費増税を見送れば、「子ども・子育て支援制度」は赤字国債頼み。

 景気が悪くても消費増税を断行すれば、経済自体が落ち込み赤字国債頼み。

 どっちにしても景気がうまくいかなければ日本の社会保障は制度疲労を一気に噴出する。

 その前に、質や生産性の向上につながる改革を社会保障に導入しなければならない。が、政府は違うことに執心している。目の前の課題に取り組まない政府が果たして国を守れるのだろうか?