2010/02/15

与謝野氏の質問

■与謝野氏の質問は、よく練られていた。集中力をもって質問を聞かないと、過った答弁となる■実際、与謝野質問では「母親と政治資金の話をしたか?」と聞いているのに対し鳩山首相は「母親に政治資金の無心などしていない」と勝手に勘違いして自分で“事件性”を盛り上げる答弁をしてしまった■このやりとりから浮かび上がったのは、“実感”無き首相の姿である。おそらく鳩山首相は母親からの資金提供を知らなかったのだろう。しかし母親との何らかのコミュニケーションで、カネに困っている情報は母親に伝わった。そこで母親は親心で首相には気づかれないように秘書にカネを渡していたのだろうと■与謝野質問もこんな想定で作られていた。それにしても母親と秘書が“内緒で”月1500万、年間1億8千万のカネを“入金”していることに“気づかない”とは、感覚がおかしい、総理としての資格がない、と畳みたかったのだろう■それを「無心などしていない」という方向に首相が引っ張っていったから、与謝野質問そのものが信ぴょう性に欠けるような報道になってしまった■率直に言って鳩山首相という人は“実感”が乏しいのではないかと、疑われる。例えて言えば、感覚障害のような状況である■風聞では鳩山首相の性格として、結局最後に会った人の意見に従う、とか言われている。事の真偽は別にして、影響されやすいということなのだろう。感覚障害の場合、自分では良いのか悪いのか、痛いのか痛くないのか、苦しいのか苦しくないのかわからない。“実感”が伴わないから。そこで敏感な人の意見に頼るしかない■カネの問題にしても、鳩山首相は「カネに困る」という“実感”がわからないのだろう。“実感”はないけど秘書が困っているように言うから、たぶん困っているのだろうと、考える■他人の感覚を頼りに考えるというトップは大丈夫だろうか。